「ブログとクロスメディアとロングテールとビジネスの幸せな関係」

昨日に引き続き、http://www.jagat.or.jp/page/2006/cmc/のセミナーに参加しました。
SixApart 関氏
ブログの双方向性によって生じる、個人サイトと企業サイトを直接つなぐトラヒックが、新しいマーケティングの可能性を持っていることを指摘
Google 高広氏 (→mediologic.com)
ロングテールの特徴として、80:20の法則から外れている点、消費者のintensionを捉えるマーケティングである点をあげる。ロングテールの広告=消費者の意図,intensionの起こるところに広告を仕掛けること、である。検索行動は消費者のintensionであり(ティム・オレイリーのインタビュー参照)、Googleはintensionを捉えるマーケティングを実践している
ロフトワーク 諏訪氏
マーケティングにはマスメディア方向とニッチメディア方向に2つの収益の山がある。前者はリーチあたりの単価が安いが転換率が低い。後者はリーチあたりの単価が高いが転換率が高い。ネットによって二つの裾野が繋がる谷間までマーケティングの対象になってきている。最後にMTでアフェリエイトを行うプラグインECKitの紹介。

メモを下に張っておきます。
注意:下記は私が聞いたことを書き留めただけのものです。内容の真偽について保証しません。


SixApart 関氏

SixApartについて
会社の規模110人、アメリカ(70)、日本(30)、ヨーロッパ(10)の三極体制
2006年2月 1000万人超のユーザを抱える
2005年1月に650万ユーザのLiveJournalを買収

商品
MovableType
TypePad
LiveJournal (個人向けコミュニティサービス)
TypeKey

広範囲なパートナーシップ
Nifty, NTTコムなど18社にTypePadを提供
良質なユーザベース
・有償ブログサービス→使う人はみんな志が高い(本当?)
ブログ技術開発のリーダー
トラックバック、スパム対策
・標準技術を使ったオープン性
プラグインによる拡張性

ロフトワークとシックスアパート
・ロフトワーク:幅広いブログソリューションを提供するシックスアパートのProNetパートナー
・ブログデザインコンテンスト
・ブログを使った新しいビジネスを提案へ

ブログがネットとビジネスに与えるインパクトは?
ブログとロングテールの関係とは?

2006年の予想:ブログを起爆剤にネット経済が大きく発展
・ブログの登場で誰でも「価値有る媒体」を運営可能に
・ブログと検索エンジンが「媒体価値」を向上
・Eコマースを包含するブログエコノミーが出現

5人に1人がブログを所有: 総務省の予測
国内ブログ所有者数 473万人(2005.9) -> 782万人(2007.3)
ブログ閲覧者数 1651万人(2005.3) -> 3455万人(2007.3)
18.4%がブログを所有(若い人、女性が多い)
男 女
10代 20% 25%
20代 20% 30%
:

2003年にはほぼゼロだったブログがなぜここまで爆発的に普及したのか
簡単にデザイン性が高いページを作れる
昔もHPを作るのが流行った、しかし更新頻度が高くない。
→ウェブのロングテールの基盤に

広がる企業でのブログの利用: 40%以上の企業がブログのビジネス利用を検討
・顧客や社員とのコミュニケーション(広報サイト、マーケティング、CRM、社内ブログ)
・個人ブログを前提にしたマーケティング(個人ブログで話題になるように、
個人ブログと連動する企業ブログ)
SixApartも、日本オラクルとの協業を発表(2005年12月)

企業ブログ事例集 www.sixapart.jp/business
書籍「ブログ・オン・ビジネス」(日経BP社)

ブログ:双方向コミュニケーションを実現する次世代ウェブ
・カンタン
・見つかる
誰にも読んでもらえないというのは、昔。今は検索エンジンによって欲しい人に欲しい
情報が届く。過去のコンテンツも価値を生む
・双方向
リンクやトラックバックによる類似情報の蓄積、ブログが媒体と目的地の二面性を持つ

情報を欲しいと思う人は
検索エンジン
あるいはポータルサイトなど情報が集まっているところで
あるいは企業ページ、情報サイトをチェックする
ネット広告が、検索結果から目的となる企業やECブログの間に入るようなトラヒックもある
この中でブログの双方向性というのは、情報サイトと企業やECブログとの間を繋ぐ
役割を持つ(リンク、トラックバックによる、クロスセル・アフェリエイト

既存のメディアのケースは、トラヒックを流すとお金がかかるのでトラヒック
流さない方に働く。ブログは双方向性という性質からトラヒックが多く流れるような構造。
企業はトラヒックを自分のサイトに誘導ことを考える。そのとき、自分のとこにきて
いるトラヒックは、媒体を介さなくてもサーチエンジンから直接ページにたどり着く、
その後に周辺情報にトラヒックを流すなんてこともできる。企業の価値を企業のブログ
が生み出す可能性がある。それがブログのエコノミーに繋がると考える。

ブログ=双方向性を備えた初のメディア
既存のメディアはすべて一方向

ブログへの訪問頻度、平均利用時間が大きく高まる
Web広告研究会の報告
ブログ訪問者は前年同月比で2倍
訪問頻度、平均利用時間は企業サイトを大きく上回る

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Google 高広氏

宣伝
"Add to Google"ボタン:ブログに置けるボタン。クリックするとパーソナライズホーム
ページ or RSSリーダに登録する
Googleデスクトップ

ロングテール時代の広告ビジネス=広告の概念が変化する

そもそも昔の広告は? Advertising 0.x
日本の初期の広告メディア:「引札」
店舗開店告知や商品の大売出しなどをしらせるちらし
ユーザをひきつけることが昔からの広告の役割
大きな声で告知することが、企業のマーケティング活動ではなかった
店舗に足を運んでもらい、商品を手にとってもらう、ということは昔から変わっていない
企業のマーケティング活動である

広告の概念は変わっていく

Advertising 1.0 : 「大衆」の誕生
明治時代=新聞の普及
Advertisingの翻訳=「広告」

最初のマスメディア=新聞の発達=「広告」の発達
味の素による発売広告第1号 明治42年

広告の定義:
・「広く世間に告げ知らせる」こと。(以下略)(@広辞苑)
・広告主の名において、「不特定多数の大衆」を対象に商品またはサービスの存在、
特徴、便益性を知らせ、相手方の理解、納得を獲得して購買行動を起こさせたり(中略)
「有料のコミュニケーション」
(@広告ビジネス入門)

不特定多数の人に伝えることが目的
マスメディアの隆盛⇒マス広告の発展⇒広告=マス広告

Pareto's law, 80:20の法則
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/paretoslaw.html
「20%の主力商品が全体の80%の売り上げを構成する」

Advertising 2.0 = Long tail
「ニッチな商品群の売り上げを集めることで、主力商品の売り上げより大きな売り上げを獲得」

今までの広告の考え方:1000000人にリーチした→そのうち20000人が理解した→
1000人が買いたいと思った->500人が買った

ロングテールの広告の考え方:
500人の売り上げは、個々の小さな売り上げの積み上げからなる
注意:ロングテールはマス広告と反するものではない。
マスコミでの告知や認知手段によって集まることで一つ大きな売り上げがあることも。

今までの広告の考え方:Attension重視
広告を打ったその時に注意を引きつける。消費者はそれを記憶しておく。

ロングテールの広告の考え方:Intension重視

例:通勤通学路にある街のケーキ屋さん。普段は気にもとめない。ここに従来の広告の
課題。知ってる、理解されていることが必要。しかし、知ってる=買うではない。
そこは販促の領域。本当はそれを一気通貫に語られないといけない。商品を買う
タイミングにあたらないと実際に買わない。

これまでの広告は、コンテンツとコンテンツの間に挟まって邪魔していた。広告と
コンテンツとの関係性は希薄。放送する時間帯からターゲット層を特定して購買率を
あげていた。
テレビの視聴態度はLean Back、情報をシャワーのようにあびる
CMが見られなくなった、と騒がれているけど、例えば80年代に中島らもがすでに
言っていたりする。昔からCMの効果を疑問視する声はあった。

インターネットはLean Forward
人間はそもそも、「情報を通して知ることを欲する動物」

広告=情報であれば広告の価値はあがるし、メディアにとっても消費者にとっても
広告主にとってもハッピー
消費者が何かを思ったときに上手く挿しこめることが重要になってくる

ロングテール時代のマーケティング=消費者のintensionに対応すること
ロングテールの広告=消費者の意図,intensionの起こるところに広告を仕掛けること

コンテンツ利用のプロセス:
検索をしてブログなどを経由してコンテンツにたどり着く
↑ ↑
検索連動型広告 コンテンツ連動型広告

ブログにAdsenseがある→消費者の興味に合わせた広告が、情報行動と連動して出続ける広告の仕組みになっている

コンテンツ連動型広告は、消費者の興味だけでなく興味に関連づけられる新たな情報を
知ることができる
Googleはそのための仕組みをいろいろ持っている。
例:場所+サービスで検索すると、Googleローカルにヒットする

Googleなど検索技術に基づいたマーケティングは、Search Engine Marketingと呼ばれる
サーチエンジン上だけでマーケティングすることはできない。
"Merketing for Consumer Intension"と考える方が正しい

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ロフトワーク 諏訪氏

ロフトワーク
Web, 映像、広告、グラフィックデザインなどを手がける総合制作代理店
他と違うのは、クリエイターのコミュニティを持っていること
4500人のプロフェッショナル

得意なのは大規模な制作、大量な制作を短期間、高品質に
CMS, 携帯の待ちうけ、SNSの開発などなど

Web2.0とかって誰が儲かっているの?

むかしはどうだったか。「マルチメディア」が流行ったとき
負け組:衛星配信音楽放送、セットトップボックス、KIOSK端末(導入した企業)
勝ち組:Adobe, Macromedia、CD-ROMプレスメーカ、KIOSK端末(導入させた企業)
ツールを作っていた会社が勝ち組だった

Web1.0のとき
最初に成功したのはAOL:数は力ということに最初に気づいた
無料配布、アプリケーション、利便性、プラットフォーム、紹介精度、ユーザ集積
iTunesなんかはAOLと変わっていなかったり
Yahoo商法もAOLをなぞっていたり

後続するIT企業:成功したのは一業種一企業、最初に数を作る

Google: ロングテールの出現
全インターネットを網羅する巨大なメディアを作り上げた。

Google+MT
ロングテールに最適化したメディアBlogの台頭
尻尾が太く長く、テクノラティなど新しい集め手、プラットフォームとして成長する
過程に入っているのでは?

今後の流れは?
・1強の構図からもう少し緩やか自由な世界
・とはいえ集める強さは変わらないはず
・より成熟したメディアへの道へ。コンテンツの寡占は難しい。広告はシステム的になる
ので寡占されてしまう可能性がある
・BtoBの情報提供の本格化がCMSとブログによって始まる

制作や広告の業界はどうなるのか?
2つの面のロングテール
・メディア:テレビーポータルーブログ
・広告:CM−バナー

重なると2つの山ができる。
マスメディア:リーチあたりの単価が安い、転換率が低い
ニッチメディア:リーチあたりの単価が高い、転換率が高い
技術の進歩によって二つの山の裾野がつながってくる。
一番底辺の部分は、GoogleAmazonの一人勝ち。このマーケットって作るのは大変、
管理も大変、新しく参入のは難しい。

toBの場合、これまでは一軒一軒営業をしていたのが、メディア投入されることで
変わってくる。大企業でもこの方向にシフトしているところが増えている。
conversion rateにシビアにコンテンツを作って訴求する。

toCの場合、商品がコモディティ化していて変わりがない場面と、消費者のこだわりが
再分化している場面の二極化。どちらもマスメディアには不利

いずれは「ネットからまず考える」プロデュースが当たり前に?(3年後ぐらい?)
面倒だけど、複合的なプラニングをして色々作らないと。。

ECKit: SixApartと共同で新しいサービス
MTへのプラグインで、編集画面にアフェリエイト先の商品コードを登録。商品データを
自動収集。

Amazonを経由せず、個人のアフィリエイターを沢山つくるようなサイトができる

リリース予定は3/1

週末には両方の講演を踏まえたエントリーを書くつもりでいます。