http://www.tvblog.jp/event/archives/2006/02/index.html感想

・メタキャスト
先週末、何の因果か井上氏や橋本氏と飲む機会がありまして、iPodは直に見せてもらっていました。細かくシーンを切って見ることができるので、確かに面白そうでしたよ。講演後、直に質問をしました
Q. ドラマなどで見たいシーンだけ切り取って見るのは、番組改変にあたるのでは?
A. 少なくとも番組の内容が変わってしまうのはまずい。テレビブログでは短いシーンを切り出すようなメタデータがないかチェックしている。しかしブログに話題として取り上げ視聴者の立場を考えれば、見たいシーンに直接アクセスできることは大切だと思う。個別に対応していくしかないだろう。

テレビに限らず、映画やアニメで同じような枠組みができると楽しいのにと思う。ぶっちゃけテレビ見ないんですよね(汗 このカンファレンスに限らず、テレビに関連するサービスとかがプレゼンされるとき、例にあげられる番組はいつもワールドビジネスサテライトなのですよ。翻って言えば、ビジネスマンが移動中に見たいと思う他のコンテンツはテレビにないのかもしれない。例えばアニメなら制作会社とタイアップして話題作りとかアフェリエイトとかに使えそうですよね。
あとは、再エンコードの問題ですね。一日の全番組を録画しても、再エンコードする番組を選ぶと、他の番組は見なくなる可能性はとても高い。これは私の仕事がらみの問題。

kizasi.jp
今回のカンファレンスで一番刺激的でした。ブログの話題の推移はとても速く、放送局の番組制作よりも視聴者の気分を反映できているかもしれない。誰もが何となく感じていたことだろうけど、今回具体的なデータを見ることができてとても興味深かったです。例えば前回のカンファレンスで、テレビ局の強みとして視聴率の変動をきめ細かく番組制作に反映する体制をあげていた講演者がいたけど、それがむしろ弱みになっている可能性がある、ということですよ。
問題は、情報の抽出に使うにはブログは話題の推移が速すぎるんじゃないかということ。例えば後で個々の番組を見てまとめたい、なんてときには使えない。当たり前だけど。ソーシャルブックマークなんかと組み合わせて、キーワードの時間方向のつながりみたいなのも抽出できると最強なんではないかと思う。

つながるテレビ@ヒューマン
民放の検索結果を使う番組は見たことありますが、正直微妙だと思っています。番組がオフビートというかノリがないというか。ぶっちゃけテレビでやる必要がない。なぜブログが他人のブログの話題をとりあげるかというと、ブログというメディアがユーザ間の距離の近さを内包しているからだと思います。連帯感を持っているというか。でも同じ話題をテレビが取り上げても、連帯感は持たないでしょう。まさに神田さんが言っているネットの近接理論です。テレビはテレビならではの劇場性というものがある。それが虚構性を許す枠組みになっている。それぞれのメディアで距離感が違うというのは、やはり外してはいけないポイントだと思います。
電車男のように、テレビで取り上げることがまたネタになって、というサイクルが一つの解なのだと思います。

・テレビxネットの先端サービス10番勝負
テレビのコンテンツを加工するサービスと、個人制作ビデオの投稿サイトの2つに大別できるでしょう。前者はイリーガルなファイル交換以外は個人が家庭内で使うのが目的。イントラネット。今のところ、個人がコンテンツを視聴する機会なんてテレビかPCかモバイルかぐらいなんですよね。今後どういうふうに変わるのか。コンテンツを視聴するデバイスは増えるのか。まだ、インターネットがテレビの視聴を変える未来には至っていないです。後者は、コミュニティの役割が興味深いです。作り手には、注目という正しい報酬が支払われるべきだと思うのです。でなきゃ作り手もやってらんない。面白い作品はどんどんコピーして構わない、という意見には反対なのです。情けは人のためならず。アフェリエイトじゃない他の枠組みはないものですかねぇ。あとはコミュニティをまたぐ仕組みですね。
興味深いのは、(本来自由にできそうな)個人制作のコンテンツを加工するという流れがなく、(本来多くの人が話題をシェアできる)テレビのコンテンツでは著作権の問題で引用などコミュニティを活性化するための手段に制限がある、ということ。ニッチとマスの両方で、コンテンツに対して本来行われそうな活動が十分に行われていない。このねじれというか隔たりはいずれ埋まるようになるのでしょう。いつになるかわからないけど。