マンガ:「おおきく振りかぶって」

なんたってキャラクターでしょう。ピッチャーとしての実力に自信がないのにエゴは強い三橋君とか、最初はピッチャーを駒のように考えていながら今やもうデレ期にある阿部君とか、お馬鹿だけどやるときゃやる田島君とか、色々気はまわるしキャプテンシーばっちりなのにちょっと田島に劣等感持ってたりする花井君とか。また、高校野球というベタな世界が群像劇をきっちり支えている。キャラの行動原理をある程度コントロールできる世界設定って、受け手が安心して作品を楽しむのに効果的なんですよね。
野球マンガですが、構造はボーイミーツガールなんですよね。そこがまずすごかった。心情の変化が野球の展開に沿って描かれ、それが次の作戦に影響を及ぼす。試合の展開でプロットが描かれるってこれまでなかったんじゃないかな。また、作戦の成否が実力差だけでなくある程度偶然に左右される。だからこそ次はどうしようか考える必然性が出てくる。その点でジャンプ的な少年誌展開とも違ってきている。物語を小さくしても作品が成立することを示した素晴らしい例だと思います。
ところで、連載ではまだ1回戦が終わってないとか。どうするんだ。