未来に対してパスを出す

サッカージャーナリスト湯浅健二氏が、知己であるベルリン在住の小林敏明氏とWCの話をした中でのトピック。

要は、パスを成功させるためには、出す方と受ける方との間にある空間としての(物理的な)間だけが見えているだけでは十分ではない・・彼らは常に動いているわけだから、未来ファクターとしての時間の間という概念も大事になってくる・・要は、動きがつづいているなかで、次のスペースもイメージできていなければならない・・そして最後が、プレーヤー同士のイメージのつながりという意味での、人間の間・・。

 「空間と時間、そして人間ということで、そのすべてに間という言葉が入ってくるよね。だから、間の三拍子なんて呼べたりもする。それが揃ったときに、ゲームが非常にきれいなモノになってくると思うんだよ」と、小林さん。

共有すればいいってわけじゃない - END_OF_SCAN物語を駆動させるためのデザインその1 - END_OF_SCANで述べた通り、メディアもまた、空間と時間、人間という3つの間をコントロールする仕組みを中に持っている。人は3つの間をコントロールしたいという根元的な欲求を持っている。ユビキタスネットワーク、アドホックネットワーク、タイムシフト、動画共有には、それを選択したこと自体に何かしらのメッセージが含まれている(メディアはメッセージ!?)。それは表現と呼ぶには、余りに曖昧でか細い。けれど、断片的な言葉のやり取りから理解をimproveする会話のように、あるいはモダンジャズのimprovizationのように、互いに思い描いているものをシンクロさせることができるんじゃないかなーと思ったりする。
もう一つ。

小林さんがつづけます。「どうも日本人は、過去ばかりに目を向ける傾向が強いと言えるかもしれない。先を見たり、先を読んで行動することには、勇気と決断力が必要になるからね。日本人は、それは、ちょっと苦手かもしれない。ボールは、飛んでしまったら、もう遅いから。その前に、未来を予測するっていうことなんだと思う。もちろんボールを持つ選手は、未来に対してパスを出すという感覚を持たなければならないし、パスを受ける方も、未来に向かって走るという感覚を持たなければならないということだね。要は、サッカーでは、創造性と想像性の両方が必要ということかな」。

過去に向かってパスを出すロートルは多い。さらに、パスを受ける方、つまりユーザが未来に向かって走るという感覚を持たずにパスを出そうとするロートルはもっと多い。さらに、敵が走らないことを前提にパスを出そうとするロートルはもっともっと多い。
この手の香具師らにユーザが走っていること・敵が走っていることをイメージさせるにはどうすればいいんだろう。少なくともゼロベース思考は重要なんだけど。