モバイル社会シンポジウム2006−エスタブリッシュ層の考える表現について

慶応大学の徳田先生らによるパネルディスカッションは、2030年に日本はどうなっているか、そのときのコミュニケーションはどうあるべきか、という内容で行われました。ケータイの「蛸壺」のようなプライベートなコミュニティから、異なる価値観を持つもの同士が理解しあう社会にすべきだという点で全員の意見が一致し、そのためには互いの「気遣い」が必要だ、というものでした。
以下はメモ
以下は私が見聞きしたことを勝手に書き留めたものです。


映画にみる2030年のモバイル機器
映画「タイムマシン」
図書館にきた子供たちが持っているのは学習用端末、ローカルメモリと透過型
ディスプレイを持った無線アクセスPDAが登場
人が通過するのにあわせて、廊下に置かれた半透明の板にCGの人が映る。
会話しながら質問に答える。

攻殻機動隊
人間らしいのは誰か
脳以外はすべてサイボーグな人間
記憶を植えつけられる人間。機械を頭にかぶって知識も記憶もバーチャルに埋め込
まれる人間らしい議論をするロボット。議論によって集団の意思決定を行っている。

人間らしさ→
社会をつくるのは誰か、どうやって社会をつくっていくのか

問題:少子高齢化、自然環境破壊、世界情勢不安
そういうのを超えて新しい社会を作っていくには。。。

ユーザにとっても、メディアにとっても、社会にとってもいいかどうか。
それを考えながらケータイ文化の研究を続けてきた。

将来に向かう道筋
コミュニティと社会関係
自律的に個人が発信ー>新しいネットワーク文化が。。
ソーシャルソリューション
利便性を重視したテクノロジー社会の合意形成→新たなソーシャルソリューション
→環境を考慮
創発を促す情報メディア
ユビキタス⇒知を創発するオートポイエーシスな知的空間

個々のパネリストの語る2030の未来ーパネルディスカッション
1.25年前を振り返る
2.2030年に向かって何が期待、何が不安か
3.コミュニケーション、モバイルに対してどのように影響を与えるか
4.提言



1.25年前を振り返る
坪田氏:
1980-2006
メインメモリ 16k->512M 32000倍
外部 160k -> 240G 1500000倍

1980年
トフラー「第3の波」
ポケベル、公衆電話 固定されたコミュニケーション
最近公衆電話がない
晩婚化が進んだ

徳田先生:
修士卒業、パケットコミュニケーションの研究所がはじめてカナダのウォータールー
大学にできた。学生兼職員
HITAC 10とか
32k NOVA 1200、
ニコンピュータネットワーク作り。

宮沢先生:
電話コードをひっぱって長電話。親が寝るのを待って話したり。
大学の大型計算機センター。因子解析とかを紙パンチで動かしていた。

橋本先生:
大学生、電子工学科
スペースシャトル。院に入ってからNECのPC。筑波万博。
関数電卓をみんな買って。先生が自慢していた。
モデム300ボー TELEXで海外とやりとり

谷氏:
経済産業省にはいってすぐ25歳
オイルショックの直後、需給見通しを考えていた。当時考えていたよりオイルの値段が高い。
TSS。役所は国会質問を待って待機。質問が入るかわからない。雀荘に行く。誰々は
どこの雀荘に行ってると記録。質問がはいると呼び出し。


2.2030年に向かって何が期待、何が不安か
谷氏:
環境省の課長
そのとき「環境と経済の好循環ビジョン」を作った。

大きな街、中くらいの町、小さな村
自然のめぐみが人を呼ぶ里
モバイルの技術ができると、田舎にいても経済活動がなりたつ。物理的に人がこなくてもいい。
マスメディアは有名な森などに人があつまる。
そうじゃなくてミニコミで個々がいなかで生活をする。

橋本先生:
研究自体が一大産業になり活動する場が増えている
不安、視力、聴力といった生体的機能の低下
日本は、
科学技術立国になっている
不安:さまざまな階層の固定化

宮沢先生:
期待:
国際結婚、移民
多様な人々、違う文化を持っている人とつながっていく
社会関係資本を公共に提供する
不安:
人とつきあうのはつかれる。自分と違う人とは特に。
背景文化が違うと誤解も大きくなる
同じ人同士ばかりが集まっていく。楽なだけの関係。
多様だけど、小さな村。蛸壺。

徳田先生:
個人:
健康、家族、仕事、年金
家族:
介護、家族間コミュニケーション
組織:
世界的なレベルの大学作り、組織の国際化
コミュニティ
安心安全なコミュニティ作り、Empowered Community
防災の委員をやっている。防災の番号があるけど整備されていないので使いにくい。
みんながくまなく繋がれば強いネットワークになるのでは。
社会:
大震災、社会保障システムの破綻
社会保障、持続的社会、エネルギー問題、環境問題
元気、感動、利便、安全な社会。日本の国際競争力、オンリーワンの日本文化
期待:ICT革命

坪田氏:
新聞業界の最先端をにらんでいる人たちが話題にしたのはEPIC2014
NYTimes 2030年に廃刊なんて予測とか

学生に2030年に新聞がどうなっているかレポートを書かせた
半々。死んでいる(コストがもたない、ネットでみられれば十分)
生き残っていて欲しい(世の中の人が何を考えているか、についてのある基準を伝える
役割がなくなると、世の中が混乱するのではないか)


3.コミュニケーション、モバイルに対してどのように影響を与えるか
坪田氏:
集中と分散で社会は動く
価値観多様化、経済発展がつまずいた、アジア(中国)の発展
分散し、ふわふわした時代から新しいまとまり

コンピュータの進化
中央集権ーEnd-to-End
自律分散でなんとかなるのではないか。
一方でそれではおかしい、という声。
どこを着地点ともっていくか。
コミュニケーションが社会の枠組みを再構築していく

ケータイが広がった:コミュニケーションがパーソナル化した。
空間からの解放
人間がコミュニティの一員から個になっている

分散と集中について
日本の社会が分散化していっている傾向があるとして、今後、どのようにある種の
まとまりを維持するか?

谷氏:
まとまりをもつ=個々が違う文化の人と一定のコミュニケーションをとること
最近それが難しくなってきた
昔は、物理的に近い人とはそれなりに話しをしていた。そういう
空間の制約がはずれた→楽に遠くとコミュニケーションがとれる
同じ話題の人としかコミュニケーションをとらなくなった

私的ブログを公務中にしていたと怒られた
PSEのブログ。炎上
PSEはもう決まっていた。
谷みどりが去年きてから運用をかえた。
事実でないことが広がる。
いろんな人たちがコミュニケーションをとる
共感のとれる人としかコミュニケーションをとらない。

宮沢先生:
日本社会は閉じた社会。互いに相手がわかっている。
安心のコミュニティが今まであった。
それに対する反発。凝集性が強くなる。外から入ってこれない。
それぞれが個としてつながらないといけない。
多様なネットワークを作ろうと思えば作れる。しかし現実には、
ケータイは:
50−100のアドレスがある。しかし実際には3−4人。
送っているメールは例えば、「今エレベータ乗っている」てな内容。
インターネットにはいろんな人がいるけど、最終的には同じ考えの人たちと
しかつながらない。
インターネットは多様と言いながら実際には集約するために使われている。
分散といろいろ言っているけど、集中に動いてしまう。
どうするか
オンラインコミュニティーでもぎちぎちした関係になると、新しいコミュニティを作る。
強い紐帯におけるコミュニケーションの連続
拡散自律するいい道具でも実際にはそう使えていない。

橋渡しの価値が重要。
蛸壺を通せば、メタコネクター、モデレーター、
いろんな繋がっている人がサポートが得られる。「そういう人を作りましょう」
蛸壺でいい人もいる。確かに、出るのがいやになる楽しい空間ではある。
そこをつないでいく人たちが増えれば。

坪田氏:
コンピュータ技術はまず、高速に計算することが目的だった。
UIができた。多様なコミュニケーションができた。
人間に近づいてきている。
今後25年のコンピュータの姿は?

徳田氏:
右と左に極端にふれる
右は極端な集中:米国型:超アグリゲート、Google..、大サーバ
左は極端な分散:日本・韓国型:超分散 モバイル,UC、インプラント

力技で翻訳も可能になってしまっている。

坪田氏:
25年後のロボットと人間との関係は?

橋本氏:
巨大なロボット産業が発展している。
実際には、人型ロボットは難しい。
永遠に終わらないかも。
人型よりも、見た目ロボットではないけど実生活を支援するものの方が有りうる
用途に応じて適切な形をしている。

坪田氏:
不安要素大きいじゃない

谷氏:
不安があることをどう生かすか。
いい調子だとみんなこんなものだよ、と思っているのではダメになってしまう。
不愛を生かすプロセス。
そこで誰とどのようなコミュニケーションをするか、がキーになる。
コミュニケーションの試練にさらす。
ブログ炎上で大変だったけど、自分のパワーを貰った気がする。
パワーのある人たちとコミュニケーションをする。

坪田:
シンポジウムをやった
デジタルワークモデル
ユビキタス化した世界の中で、どのように仕事をするか
時間管理についての話題:両極端の話題
時間管理がいい加減になってつぶれる。自分で管理するー仕事さえすれば。
新しい常識を持たないといけない。
自律管理。自分を守る。自分が働くという意識を持つスキルが必要。

分散協調よりもまず自律が重要。いきなり分散になってもだめ。


4.提言
徳田氏:
ある一つの価値観をもった人が社会をひっぱる世界にはならないだろう。
多様な価値。
エネルギーをどんどん使う社会ー節約する社会
分散する社会ー蛸壺社会
両方大:カウボーイ型
両方小:ネットワーク型ロハス
エネルギー大小さい:蛸壺型日本社会
節約、それなりに交友:ネオ江戸型社会

自律分散強調の前提はないといけない
プリンシプルがなければ
リアルとネットは分離してしまった。
多様なコミュニティーが創発する価値創発型社会

宮沢氏:
多様な価値観の人が感動を共有できる共生できる社会がいい
ロボットだって多様な一人。
社会的寛容性が必要。今の日本はそれが下がっている。
寛容性があがるような。そのための技術が。

橋本氏:
テクノロジーの役割は大きいだろう。
これまでの産業革命などなど。
コミュニケーションの拡大。今後加速していく。
多様な価値観を持つのは疑問。
前提となるものテクノロジーがあるから。それを除いたら別の価値観がうまれるかも。
意図的に多様性を求めないと、在る枠組みにしかとどまらない
意図的に多様性をもつ仕組み。
意図的に制約をかけて多様性をもたせないと。

谷氏:
人間の人格、自信
自分に自信がないと多様なコミュニケーションが怖い。
自分に何かがないと一歩が踏み出せない。
多少のリスクはとらないと。そういう人の後押しができる技術が。
実名の参加はこわい。
実名をさらすことで広がるものもある。

遊橋氏:
女性の活動をあげるように技術を使いたい。
IT技術にあふれた環境で育った子供。そういう人たちが過ごせるものを考える。
モバイル:お上からいただいた通信でサービスをしていく
限られた帯域ではなく、いろんな組み合わせになる。

日本にないのは、民レベルでのサービスの整備がない。公の知見が
アーカイブされるようなシステム

坪田氏
コミュニケーションコストが低下した。
これまではテクノロジーが限定していたから中央集権になっていた

意図にシフトしていく
なんでもできちゃう。どういう意思で社会を作っていくか、というのがより重要になっていく。
SNS:一つの蛸壺
一方で荒川静香をみんなで見てみんな感動
まとまるコンテンツ、共感
帯域が広くなるほど、共感しやすい。社会的まとまりにつながるように。

パソコン通信でのフレーミング
3つの情がない
声の情
筆の情報
表情

それだけ帯域が狭いのだからそれを考慮、相手を気遣う

新しいネットワーク。濃いコミュニケーション
一つの道具として使っていく必要がある。