モバイル社会シンポジウム2006 - キーノートスピーチ

何が起きるか全くわからない環境では途方にくれるし、何もかも決定していると飽きてしまう。予測不能じゃないけど不確定な要素があるぐらいが丁度いい。そんな状態を偶有性って言うそうだ。
クオリア茂木たんは偶有性を情報活動における重要な要素だとあげている。石井氏は偶有性のあるシステムをうまくまわすための要素として3つあげた。身体性は報酬系をつくるためだ。コンテンツは人を吸引し唯一性をもたせるためだ。最後の一つである循環、とくに肺循環にはなるほどと思った。
肺循環っていうのは、肺の中で静脈血を動脈血にするための循環。コンテンツのアナロジーでいうと、消費されたコンテンツ(アーカイブ)に新たな意味を与えるため、小さな循環(たとえば個人レベルでの回想)が必要、ということだ。「Web2.0=発酵食品説」と同じと考えていいだろう。身体の循環を停めないため、肺循環をどのように設計するか、というのは重要なファクターだろう。

以下はメモ
*注意:以下は私が見聞きしたことを勝手に書き取ったものです。


キーノートスピーチ / 石井威望氏
*2005年の話
携帯の成長とともに生活の質が三段階変化
1. コンテンツ主導←携帯の登場
場所、時間が行動を決めていたのが、コンテンツが行動を決めるようになった
2. エンタングルメント←iモード
ネットで世界のあちこちで起きていることを並列に理解できるように
3. 幾何学的図形表現←写メール
文章以上のものが伝えられるようになった

これまで安全だと思っていたものが揺らいできた
*子供の安全
*情報の流出

2004 パルミサーノ調査
次の時代にむけて人材育成、教育が必要

ネット利用も多層化:
携帯でインターネット
家庭でインターネット

携帯が社会を変えてきた
自動車での携帯利用
おさいふケータイ、不正利用

2006年 モバイルと他の文化とのシナジー=交響
成立条件:
個別文脈の相互交錯(エンタングルメント)
存在の同時性(並列性)
共有された空間

大きな空間で各々が個別に振舞う、パーティションにしない
互いに相手が何をしているかを見ながら作業をする。
隣まで自分の境界が広がる、身体の拡張、運ばれる環境、文脈の伝送

脳科学的・心理学的な見地からみた共有性
・互酬性の期待
・ミラーニューロン
・心の理論
4才ぐらいに相手が何を考えているか想像できるようになる

ドーパミン:脳内報酬系

偶有性 :半分予測可能、半分予測不可能な形で起きる事象
二面性がある
いいことが起きたときにそれを促進する=報酬系
悪いことが起きたときにそれに対応する=リスクマネージメント
双方を持つことが必要

偶有性をコントロールする要素:
・身体性
・コンテンツ
・循環(大循環と小循環)

身体の他の報酬系:ミトコンドリア、筋肉と脳
身体性と思考の関連
身体を使わないと脳も動かない

コンテンツによる選別
遍在する情報:均質化の波
集権化から分散化へのメディアの変化:想像の契機
吸引力;唯一性
不安定な物理的条件;迫り来る情報と解釈能力
ひらめき:あるいは偶然の出会い

循環の歴史
動力機関
熱力学:カルノーサイクル、エントロピー
静的なシステムから循環的なシステムへのパラダイムシフト
アナロジー:天体、原子のモデル、ATP合成酵素、鞭毛モータ、細胞運動、季節のサイクル。。。
位相:回転運動に付随する属性
コヒーレント:同位相に揃っている状態
位相があう=シナジー
位相があうためには個人が発信すること
:SNSなど社会的基盤が発展

肺循環:身体全体の血液の循環(大循環)を継続的に動かすための肺の中の循環(小循環)静脈血から動脈血への転換

回帰(=個の中での小循環)
過去の自分に逢う、回想
自己交響、文脈内自己シナジー
:(映像、コンテンツ)アーカイブの役割