11/25 岐阜近辺の神社から犬山城、香嵐渓

この日の目標は国宝犬山城と紅葉で有名な香嵐渓。すぐ目の前の金華山の頂上に岐阜城が見えているのだけど、時間がないのでスキップ。その前に行きたい神社もあるので、6時半に宿を出てJR岐阜駅に戻り、そこから大垣方面の列車に乗ります。

美濃国一ノ宮の南宮大社は、大垣と米原の間にある垂井駅から歩いて15分ほどのところにあります。駅前には案内が何もないのですが、しばらく南に歩くと大鳥居が見え、さらに先に行くと小山のふもとに神社が見えてきます。広い敷地の先に朱塗りの門と主殿があります。江戸時代のもので重要文化財とのことですが、細かい意匠もきれいに残っています。関が原近くということで絵馬を掛ける柵には「天下分目難関突破」と書かれた板が掛かっていました。

倉庫のような建物の壁には、鋤や鍬や鎌など農作業で使う金物が木札に貼られて供えられていました。南宮大社の主神である金山彦命は鉱山の神様で、全国の鉱山と金属業の崇敬を集めているらしいです。なお、宝物殿には長船の大太刀や日本に5本しかないという三条の太刀などが納められているらしい。

早朝だったので社務所も開いておらず、摂末社がある山のほうを少し周ってすぐに戻ることにします。山の方には関が原のときの安国寺恵瓊毛利秀元の陣地跡があるそうです。

岐阜に戻ってまた長良川方向のバスに乗り、その手前にある伊奈波神社へ向かいます。前日も思ったのですが、岐阜駅前のロータリーがとても立派。夜は青色のLEDでライトアップされていて綺麗でした。長良川方向は5分ほどに1本バスがあり、日曜の朝なのに人の乗り降りも多く、市民の足になっているようです。長良川近辺も散策するにはあまりにそれぞれの観光スポットが離れています。長良川が「僕らはみんな河合荘」の聖地であることから、河合律ちゃんを探してきてくれと密かに命を受けていたのですが、とても探しきることはできない。捜索にはレンタサイクルが欲しいところです。

 伊奈波神社は、尾張国三ノ宮であり、長良の艦内神社です。神社はバス停から5分ほどいった山のふもとにあります。本殿までずっと坂になっていて、山門の手前の坂道に七五三に訪れた参拝客の車が多く停まっていました。山門もその手前にある神橋も古めかしくて趣があります。そういえば、愛知・岐阜の神社には、どこも神橋と神馬の像がありました。他のところでは特に目につくこともなかったんですよね。京都ではどこの神社に行っても、猪が神様の使いとして祀られていましたし、地域性ってあるんですかね。

参拝の前に手水で手を清めようとして柄杓を見ると、底に奉納した方の名前が書かれているのですが、12本のうち3本が河合さんからのものでした。調べると、河合姓はとくに愛知・岐阜に多いらしい。「~河合荘」にこんな裏ネタがあったなんて。リアル河合律ちゃん探せばいるんじゃないのこれ。

さて、帰りのバスを名鉄岐阜で降り、犬山城へ向かいます。名鉄各務原線で1本で行けます。なんとなく犬山駅で降りてしまいましたが、距離的には犬山遊園駅のが近そう。ただ、城までの通りが賑わっているので結果的に犬山駅でよかったかも。11時すぎだったので、昼飯時ではあるのですが、後の時間も気になるので城に向かいます。

犬山城は国宝ですが、わりと最近(2004年)まで城主がいた(個人所有)ことで有名です。その城主である成瀬家って、成瀬正成の子孫なんですね。成瀬正成といえば「境界線上のホライゾン」のマルガ・ナルゼの元ネタです。境ホラ完結おめでとうございます。それはさておき、そこまでの歴代城主もなかなか著名人だらけです。天守閣に登って歴代城主のリストを見て、犬山城どんだけやねんと、思いつつ、天守閣からの眺めにここが徳川にとって西を睨む重要拠点だったというのにも納得できたのでした。ただ、城の周囲には郭など当時を偲ぶものはあまり残っておらず、興ざめな感も否めないです。

 犬山城から犬山遊園駅の途中には国宝の茶室如庵があります。敷地の有楽苑の名前の通り、織田有楽斎のもので、元は建仁寺横の正伝院にあったのを何度か移築し今はここにあるらしい。半年前の茶の湯展で見た待庵の復元やら映像、あるいは過去に見た茶室と比べて息苦しい感じがなく、割と面食らったのですが、Wikiの説明にある、

二畳の小間と違ってゆとりがありかつ緊張感を失わない室内空間は、「二畳半、一畳半は客を苦しめるに似たり」と言い切った如庵・有楽斎の面目躍如と言うべきだろう。

を見て妙に納得。わりとしっかりと見ることができて案外楽しい。如庵だけでなく、有楽苑全体に庭の造りも他の茶室も作意が行き届いていていい場所だと思います。

 さて、ここから香嵐渓に向かうのですが、事前に調べたところ香嵐渓までのバスが出ているのは、豊田市、八草、浄水、東岡崎の4駅です。このうち浄水からは1時間に1本、他は2時間に1本です。ただ、犬山からの便のよさと直近のバス発車時刻を見て、豊田市から行くことにします。

豊田市だと、犬山線新鵜沼豊橋行の特急があるので、知立まで一本で行けるんですね。40分待ちとなるけど、昼飯食べればいいだろうと、駅を出てバス停に行くと、乗り場案内に数人いて英語で説明を書いたスケッチブックをかざしていて、これは何やらやばいとファーストフードで急いで食事を取って戻ると、さっきまではなかった待ち行列が出来ている。その半分以上は海外の人でした。さらに案内の人によると、道路渋滞のため香嵐渓には2時間かかるとのこと。これはもしかして今日帰れないのではないか、と帰りのバスを調べたり、運賃を払えるよう帰りの分もあわせてお札を崩したりしているうちに、待ち行列はどんどん伸びていく。運よくバスでは座れたのだけど、最終的に乗れない人も居ました。

バスは途中まで順調でしたが、道が一本になる足助追分の手前から大渋滞。あまりの動かなさにみんなバスを降りて歩き始める。約20分ほどで香嵐渓に辿り着きます。渓流沿いの小山の山腹を紅葉が連なっています。それにしても人が多い。

橋を渡ると、紅葉を視界いっぱいに収めながら、山の斜面を歩くことができます。まだ少し早かったか緑のままのツツジもちょいちょいありましたが、それでも中々の絶景です。山の上にあるお寺の境内は秋の京都のような趣がありました。3連休はライトアップがあるとのことで、日が落ちてくると根元に用意された照明が紅葉を照らし上げます。ただ、このライトがオレンジなので、紅葉もありえないほどにオレンジに輝いていて、ドーピングはどうなのよとちょっともにょっていました。

 さて、問題の帰りですが、バスが予定時間に出る保証がそもそもなく、出てもずっと渋滞で、どうなるか全然わからない。とりあえず一本道になる交差点の方に歩いていきます。途中の停留所で人が多く待っていたので、しばらく居るとバスが来たのでとりあえず脱出することが重要なので乗り込む。東岡崎行きでした。1時間半ほどかかって到着できました。

名古屋に戻り、帰りの新幹線まで1時間ちょいあったので、仲間内でちょっと話題になっていた大名古屋ビルヂング地下の名古屋コーチンのお店で親子丼を。帰りも指定席グリーン席ともに完全に売り切れていました。あらかじめ買っておいてよかったのですが、ちゃんと間に合ったのは割りと運で、いつも通りの綱渡りな旅でした。