6/9 弘前

今回の旅の目的である岩木山神社の近くに宿をとったので、昼すぎまで弘前を観光します。

駅に向かう途中に八戸城跡があるので寄っていきます。駅から見て中心街方面は台地になっているのですが、その端に城は建っていたようで、川側を広く望むことができます。

東北新幹線は全席指定なのですが、つがる2号は自由席でよかったですね。車窓からはすでに岩木山を望むことができます。

時間があることもあり、弘前駅ではまずレンタサイクルを借りました。奮発して電動自転車を借りたのですが、運動不足の身には本当よかったです。弘前の地図をもらい、まずは弘前城に向かいます。

弘前城の敷地内は弘前公園として開放されており、天主の区画以外は自転車でも入れます。しかし桜の木の数がすごい。弘前公園のさくらまつりは有名なのですが、この大きな掘一面に桜の花びらが浮かんだり、裏手の立派な桜並木のトンネルが一斉に開花するのを見られるのかと思うと、一度は季節に来て見たいものだと考えてしまいます。

自転車で移動していても、構内に残る櫓や門、新緑を眺めながらだとすぐに時間が過ぎてしまい、一度外に出て昼飯に向かいます。

隣駅の近くにあるたかはし中華そば店は、津軽煮干ラーメンの名店です。この店に行くためにレンタサイクルを借りたのです。

ほぼ開店時間に着いたところ、店は埋まり始めといったところでした。出汁表面の油と煮干エキスが混ざらすに漂っている様子が禍々しく見えます。ただ味は思ったよりはにぼにぼしていないですね。煮干らしい苦味よりも甘みが先にくる。

食事後は天守を見るために、弘前城に戻ります。途中にあった稲荷神社が丁度今日宵山ということでお祭りの準備をしていました。和徳稲荷は、和徳城の跡地に建てられたとされており、けの汁発祥の地なのだとか。

天守は丁度石垣補修中でした。外からも様子を見ることができます。弘前城天守って工事のため移動していたのですね。本来天守は石垣に沿って建てられていたのですが、この工事のため、敷地の真ん中に移動しています。天守の中では曳屋と呼ばれる移動工事のときの様子も紹介されていたのですが、これは頭おかしいですわ(ほめ言葉)。動画はたとえばこことか。

城の見学を終えると、禅宗の寺が密集する禅林街を抜けてりんご公園に行きました。ただ、ここはシーズンじゃないとお土産やと変わらないですね。レストランで絞りたてりんごジュースとアップルパイを食べましたが。りんごジュースは本当すりおろしみたいな味でした。

思ったほどは時間をつぶせなかったので、街の中心部に向かいます。弘前城に向かうときに見えたすり鉢型のアンテナのようなものを載せている建物が気になったのでした。新寺町寺院街を通り、ドーミーイン弘前の角を右に曲がると歓楽街があり、そこを抜けると、中央弘前駅があります。弘南鉄道大鰐線とのことですが、人気が全くなくアングラ感たっぷりで、これやばいところちゃうの?と思えてきます。昔ながらのレンガ積みの建物である弘前昇天教会横の坂を上ってから北に折れると、ダウンタウンとも呼ぶべき土手町通りに出ます。それまでの観光地、あるいは平穏な地方の町の風情から、一気にディープなところに迷い込んだ感があります。弘前城や禅林街の整理された町割りをずっと見ていただけに、ギャップがすごいです。

謎の建物は、地方の百貨店である、中三弘前店でした。建物の一番上のすり鉢型のところは、多目的ホール(名をスペースアストロ)だそうです。中に入って上がってみましたが、エスカレータが行き止まりになっていました。

旧市街に隣接して歓楽街だったりジプシーだったりがあり、緩衝地帯(住宅街だったり河川だったり)があって、新市街か観光資源がその外にある、というのが歴史ある街の基本構図としてあるように思います。そういうゾーニングされた街の境界を越えていくのはとても楽しいものです。ベルンしかり、ブリュッセルしかり、ワルシャワしかり。日本だと戦争で一旦焼け野原になってしまっていたり、もともと均質な街並が多かったりで、そういう街にめぐり合う機会は少ないので、感じ入るものがありました。

そんなことを考えながら、弘前駅に戻ってレンタサイクルを返しました。最後はサドルに座るのもつらかったです。しばらく待ってシャトルバスに乗って宿に。荷物を置いて、早速岩木山神社に向かいました。地図だとすぐ裏手にあるように見えましたが、実際歩いて20分弱かかりました。

岩木山神社 - Wikipedia

岩木山神社は、艦これ的には陸奥の艦内神社であり、津軽国一宮でもあります。これはもう2倍お得。

鳥居からなだらかに登る石畳の坂の先に朱塗りの楼門が見えます。両脇にそびえる大樹もあって厳かな気持ちになります。本門の前は青々とした広場になっており、石燈篭と狛犬が鎮座しています。岩木山神社には末社も含めて多くの狛犬が居り、そのどれもが個性的なのですが、特に有名なのが楼門手前の石段を登ったところで、角柱の裏に隠れている狛犬です。しかも左の方は頭を下にしたまま柱に張り付いている。顔も丸くて猫か虎のようで、なんでこんな姿にしたのだか不思議。

楼門をくぐると、北方鎮護と記された額が掲げられた中門とその先に拝殿があります。拝殿の正面に太い注連縄が吊るされていて、さらに等間隔に幣がつけられているのですが、それが鬼が笑っているように見えて、なんだか岩木山らしいなと思ってしまったのでした。岩木山は、弘前の街からも、あるいは青森を行き来する車窓からも、雲をつんざく巨きな姿を望むことができ、ダイダラボッチのような妖怪を昔の人が思い描いても何もおかしくない、などと思ったのでした。岩木山神社が北方鎮護を挙げつつも、こういったユーモラスな一面を持っていることは、岩木山自身のダイダラボッチなイメージと合わせて妙に合点してしまうのでした。

末社には白雲神社と稲荷神社があるのですが、白雲神社の狛犬インカ帝国にありそうなフォルムだし、稲荷神社のは手に乗る大きさでかわいいし、とちらも合わせて参拝しましょう。

帰りに寄った、御朱印をもらえる守札授与所の小屋には、説明のちらしが置かれているのですが、そこに五芒星が書かれた旗竿が何本も置かれていました。え、なんで晴明紋?と思いながらそれ以上は気に留めなかったのですが、これが実は愛宕神社ほおづき市とつながってくるというミステリーについては後日書きます。あとは、一ノ宮巡拝という冊子を見つけ、うちの親父が一の宮巡りしたいと言っていたのを何とマニアックなと思っていたけど実は御朱印集め的にはメジャーなのを知ってびびったり。

宿に帰って百沢温泉のお湯をいただきました。泉質的にはちょっとぴんとこなかったですが、露天風呂(含めて宿全体)がとても綺麗で楽しめました。