3Dファンの能天気さ

http://quantum-id.com/event/100129.html

申し訳ないがあまりに酷いセミナーでした。30人限定、会費5000円という設定、講師の略歴も色々ついているので期待したのですがね、それ以前のレベルでした。どのくらい酷かったって、5000円ドブに捨てる方が苦痛の時間を過ごすよりまだましだと思って、とっとと帰って来てしまうほど。セレンディピティ2.0とか何おめでたいこと言ってんだか。

通された部屋は、地べたに薄い毛布を敷いていて、そこに肩を寄せ合うくらいの狭さで座らされ、40分もの間講演を聴かされる。またその内容も、3D映像ビジネス業界の紹介の"さわり"としてもあまりに薄い。5分もネットを見ればわかる内容しかない。一方で、3D酔いなど生理的な問題については、そういう話もあるようですね、とまともな話も聞けないようだし、コンテンツ制作についてはガイドラインがある"よう"ですね、とこれまた期待できない。こんなんでいいのかね。デモもなぁ、IVRにでも行った方がまし。

私が知る「アバター」を見た人ほぼ全てが、頭痛いとか疲れたという感想を述べている。3D映像の人の生理に及ぼす影響って普及における一番重要な問題だと思うのだけど。
あと、「アバター」の絵作りで納得いかないのは、被写体と立体感が一致しない構図が特に前半多かったこと。例えば、画面中央奥に被写体となる主人公たちが森を歩いている。そして手前に草木がある。このとき、意味的には主人公たちが中心だけど、生理的にどうしても手前の草木に人の目は焦点を結んでしまう。こういう「認知的不協和」とも言える表現が多々あった。人よりも彼が持っている銃が目につく、など。見ている人は焦点を結びなおす必要に駆られるから、その結果疲れる。そもそもそういう構図をとるのであれば、二次元的なレイアウトで十分奥行きを表現できる。それが3Dにすることで逆に被写体の意味を損なわせている。3Dで表現する意味を感じられないのだ。以前AMNのセミナーでPanasonicの人が自信たっぷりに、3D映画の表現も増えてきてノウハウもたまっている(キリッ、てなことを言っていたけど、創り手が観客のことどの程度ちゃんと考えているのかあやしい。

色んな意味で、ある種の3Dファンの能天気さに改めて失望したのでした。それを再確認できたことが成果かねw。