エンディミオン

なんというラノベ。世界最高峰のラノベだな。シモンズ先生の筆はどこまでも淀むことなく、山あり谷ありの物語もさくさく読めちゃう。すげーなー。ハイペリオンはどうしても堅苦しくて途中で読むの止めちゃっているのだけどこれはいい。キャラのいじり方とディテールの面白さに、秋山瑞人を連想しながら読んでました。アイネイアーの元気っ子ぷりとアンドロイドの凸凹ぶり、ネメスを描く冷徹な語りは特に鉄コミュを思わせて。

教え子に語って聞かせた物語なのだろうと想像したくなるほどのサービスっぷりは、冒頭示される語り手の境遇によって補強される。生きても死んでもいない語り手は、1枚しかないシートを書いては消し記録として残らないはずのアイネイアーとの冒険を書き記す。ベタな物語は単に語られるのではなく、量子状態のように確定しない世界に対して投げかけているのである。この語り手の姿勢こそがラノベ的だなあと。物語を投企することで、世界を規定する。決断主義で問われるのは、主人公の意思よりも、世界と物語の関係なんだろう。