Bravia ZX1開発秘話 - Sony Dealer Convention 2008 ブロガーセミナー

Sony Dealer Convention 2008 ブロガーセミナーという9/13に開催されたイベントに参加しました。その中のブラビアZX1の開発秘話がかなり面白かったので紹介しておきます。Bravia ZX1については
世界最薄9.9mm、世界初4倍速動画表示など〈ブラビア〉8機種新発売 | プレスリリース | ソニー
を参照。これまでと全く違った思想で設計されたZX1の経緯とか思いとかの話でした。自分の体験から鑑みるに、商品企画などに跳ね返されながらもこうやって商品化するというのは本当にすごいものです。イノベーション力(笑)とか思っていたけど正直すまんかった。


こんな感じで紹介されたBravia ZX1。

確かに薄い。いや、びびる。配線は電源しかありません。

映像はすべて無線で飛ばすそうです。上の箱がその装置。ちなみに下はBlu-rayのプレイヤーです。1080iを無圧縮で送っている。他の人の質問を聞いている限り、1080pを送る伝送帯域はないらしい。

背面も美しい。

以下はログです。


永谷さん
藤井さん
テレビ事業本部

40インチ
BRAVIA ZX1
うすさ9.9ミリ
重さ12.2キロ

本体部分、端子が別にある
モニタとワイアレスでつながる
本当の意味での壁掛けを実現できている

開発経緯

永谷:
次の一手
何を盛り込んでいくか常に考えていく
3年前、その時点での液晶
これは本当に壁掛けなのかと。
発端となるもも
薄いもの、壁掛けといえるものを作りたい。かっこいいもの。

開発テーマとしてあげたのが2006年
そのときは先にすすまなかった
判断は、情報を示唆すると妥当ではあった。
必要な明るさ薄さが実現が難しい

しかし薄くてスタイリッシュなものは実現できると思ってはいた
その後、数ヶ月後、テーマを考えるチャンスがあった。なんとかやりたい。一人でもやると。
形をつくるというのがはじまった
数名で、まず形を作る、
去年の春から初めて夏にできた。
デモするのみいつ壊れるかわからない。

他社からも出て状況がいっぺんした
20ミリ前後、というのが話題になって加速していった
その後、開発の予備チームがスタート。

藤井:
2007年秋、
ずっとフロントプロジェクタの設計をしていた
入社して最初にやったのが黒リア、
静音化をとくに
そのあとリアプロ
液晶テレビの設計はこれが最初。

上司から、メカ設計が入って商品化にすすめたいと
知らない人間がゼロから作ったらどんなのができるか子も白い
やりたいように作って見ろと
32インチのでもき
毎日議論しながr
目標15ミリ
10ミリというサンプルを作ったのが秋ー冬に
予想に出来がよかった
最初に絵が出たときは感動した。

セットを作って、
そのときは内緒でやっていた
なんとか商品にしたい、といろいろとデモした
社長、会長にも見てもらった
商品企画とのやりあいもあって
2009年から、という意見が商品企画からでて
バトルがあった

上司から。こういった新技術をもらさないような秘密の部屋
そこにかぎをつけて、そこで同じフロアの人がほとんど知らないところで開発を続けた。

秘密の部屋でこもってやってて。
商品化には壁があって、その中で当時のテレビのトップを朝1で呼んで
ここまでできてるんだからやりましょうと提案したり
そこで
オープンハウスでもやってみるか、と社内でやった。
一緒にやりませんかと呼びかけて
やっとプロジェクトになった
今年の商品化につながった

社内の技術展示
それが去年の暮れ

技術的特徴1
LEDエッジライト方式
白色LEDを端、周囲に置く
光を横から入れて表に出す
厚み方向の空間を薄くできる
ノートPCもこの方式を使っている
普通にやると光源の明るさが足りない

技術的特徴2:外装パネル一体
パネルモジュールをベゼル、リアカバーという外装部品に挟み込むのが常識
一部、パネルモジュールの前面と背面に板金の部品がついているのをなくして
その代わりがべぜる、リアカバー
直接パネルを外装部品で挟み込む
外装部品まで全部クリーンルームで作っている。特殊な作り方
パネルモジュールのなかにちりが入ると絵にでてしまう

キーワード
スタイリッシュ
 とにかくかっこいいものがしたい。
 後ろをきれいにしてくれ。排気口なんてありえない
 要求をずっとしていた

狭額縁

軽量
 薄くなっても重いものだと壁にかけられない
 金属、強度とのからみもあって、それはすべてアルミで
 0.1gまで量れる量りをかって、毎日量っていた
 部品の展数は多いの?
 それほど多くはないけど、びっしりつまっていはいる

インテリア
ファンレス
 フロントプロジェクタの冷却
 ファンの音に悩まされた経験が
 薄いものにはファンを入れたくない。
 最初にレイアウト、風の流れとか最適化しておけばいらないケースがある
 シミュレーションを繰り返して

薄型の限界
 薄型、設計をやっていくと従来の考え方だとこの暑さにはならない
 以前にノートPCの設計をやっていて
 薄型の経験があった
 先に限界をめざさないと
 ちょっと薄型にしただけでと競争で負ける
 これが限界というのを目指す
 もっと削れないかというのをいろいろ協議した

広色域
 =バックライトの性能
 ソニー
 特徴の一つであるwCG
 通常のLED(白LEDを使っている)そのままだと色がよくない
 色をよくしようというこだわり、
 すると明るさに影響がでる
 色を犠牲してまで妥協はしたくない
 特徴としては従来のwCGレベルの色域は出ている

背面美
 これだけ薄くなって提案できるとなると
 例えば、リビングの真ん中にテレビを置くとか
 どっから見ても美しいデザインにしたかった
 ねじにもカバーをかけて、ロゴを印刷して
 下から吸って上にあげるという通風設計

無意識の意識
 潜在需要の喚起
 何がほしいかを考えるとき、大抵のものはみんなもっている
 改めてほしい、というのは実はあまりない
 でも、実際に商品を出されたとき、これがほしかったと感じることはよくあるのでは
 そういう、意識をしてなかったけど実はほしかった、というものを提案型でやっていきたい


Q. 熱をもってしまい温度差があって割れることがないのか
A. 金属を使ってるというのもある
試験はやっているので基準を満たしているものをあっている
ベゼルがアルミ放熱の一部になっている
外枠全体をヒートシンクになっているような設計になっている


Q. パネル自体の強度は従来と違う?
A. 同じ
中にもネジ使っている、配置も工夫している
あらかじめ強度のシミュレーションもして設計をした

Q. 現在は40型だけの発売
サイズとの兼ね合いは?
どこまで大きくできるのか
A. 最初試作は32インチ
次への課題だとは思っている

Q. 残業時間は?
A. ほぼ毎日終電
帰らないときもある
朝方帰るとか
土日は?
大体どちらがでてた
(あとで断りがあった)労働基準法はちゃんとまもっていますよ

Q. 秘密の部屋で開発していたということだけど窓はあった?
A. 窓はあった
あったけど常にカーテン
社内でもそのぐらい徹底する?
部内でも知っているのはわれわれだけ
課でも知らない人がいた
そのぐらい徹底した

Q. 稲沢にクリーンルーム作ったってこと?
A. そのへんはすみませんw

Q. スピーカーの位置が下なのは?
A. 最初上でも検討した
スピーカー
スタンドに入れて、というのと
壁掛け推奨の一つ、それに適切なスピーカー
それは別のスピーカを用意している

Q. 薄型系等の技術は他のモデルにも転用できる?
視野には入っている
ただ、今のところラインナップ上に現実的にあるわけではない

Q. ここまで薄くなると有機ELのテレビはどうするの?
A. 違うものだと思っていて
画質で有機ELはとびぬけたものがある。

Q. 寿命としては?
どちらも十分な寿命はある、LEDだから短いというのはない

最後に...
永谷:
開発やっているのは2人だけではなく
メンバーたちの協力があってできた

藤井:
われわれ無理をして設計したものを
製造所のメンバーが協力的、一緒に作りあげて
いままでのモデルではそういうのが難しかった
一丸となってプロジェクトをやっている
部品、メーカー、がんばっていただいた。この場を借りて感謝を。

動画を貼っておきます。