のぼうの城

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「世界史は論理的で学ぶものも多いけど、日本史は何が面白いのかわからない」とさる方に言われ、「日本史は愛だよなぁ」と思ったけど口に出さなかった、ということがある。「のぼうの城」は、随所に愛が込められていて、にやにやしながら読んでいた。読んでて、忍城に行きたくなるし、当時の鬱蒼とした森の中の城を馬で駆けてみたくなるし、長親を前に家臣たちが鯉口を切るあのシーンに一緒に居たくなる。攻城戦なのに戦闘はダイナミックだし、水攻めのスペクタクルさはやはり映像で見たくなる。でも実写は嫌やなぁ。甲斐姫を大根な演技されたらどうしようもない。「守り人」の神山監督でアニメ化がいいなぁ。
作品構成において一番素晴らしいと思ったのは、互いの総大将である長親と三成とがノブリス・オブリージュという点で共通しているというところだ。力のない者が力のある者に一方的に奪われることを許せないというところ。あるいは人を信じているというところ。二人とも周囲には理解されていない。唯一古くからの知己(長親に対する丹波、三成に対する吉継)がある程度理解してくれているだけだ。だからこそ開城後に三成が長親に会いに行くシーンは、ぐっとくるものがあった。
あえていちゃもんをつけるとすると、長親のような類型の人間を描くことの古さが気にならないでもない。将の器というのはダメ人間と表裏一体なわけで。こういう「マレビト」が降りてきて問題を解決する、というのは昔から結構あるように思う。ただ、どれもシステムが解体されて終わるんですよね。
ま、でも面白いので普通に楽しむべき。

ググって関係ありそうなのだけ貼っておく
行田昔話
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