メルクマールとしてのJoost

個人的にbrancoブロガーミーティングでのハイライトは、Joostと比較しての差別化要因は何か、という質問だった。ソニーの人は、JoostはVoDだけどbrancoはテレビと同じく垂れ流しなのが大きく違う、あとJoostP2Pでありコンテンツホルダーにとってどうしても抵抗感がある、またpeerからもらえるはずのデータが揃わなくて崩れることがある、それに対してbrancoではマルチキャストなので、どちらの心配もない、と答えていた。しかし、Joostについても指摘されているように、伝送手段がP2Pだろうがマルチキャストだろうがユーザにとってはどうでもいい。
Joostの不振は、少なくとも私にとっては大きな事件だった。コンテンツも揃え、品質も良くて、インターフェースも新しくて、かつその上でもコミュニティも作れる、とあって非の打ち所がないはずだった。これまでコンテンツサービスについて、テレビとネットの文化は違うのだからテレビをそのままネットに持ち込んでもダメだよという意見と、ほとんどの人はコンテンツをテレビのようにのんびり見るのを好むという意見とがずっと対立していた。Joostの不振を見ると、付け焼刃的にインターフェースやコミュニティ機能をつけてたとしても、テレビをネットに持ち込んでも受け入れられない、という結論に大きく傾かせる。「Joostと比較して〜」という質問は、言外に「Joostも不振だけど、似たようなサービスに見えるbrancoはその辺をどう乗り越える積もりなの?」という疑問が含まれていた。ソニーの人たちが回答した通り信じているのはそれで構わない。ただ少なくとも私は、その回答を聞いて、ぐんにょりした。
これから、多くの映像配信サービスが、Joostはダメだったけど、あなたのところは大丈夫なの? と聞かれるんだろう。Joostは華々しい成功例としてでなく、コンテンツサービスの判断基準として槍玉にあげられ続けるんかな。