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魍魎の匣

概ねダメだったんだけど書いてみる。

加菜子と頼子は個人的にイメージ通りだったし原作通りエロかったので映像化の価値はあったんじゃまいか。美馬坂研は外観はよかった。中は特撮の敵本部みたいにオサレだったけど。

原作における木場修のイカれっぷりは、あの長さの小説においてコミックレリーフになっているし、後々までの木場修のキャラ造形に大きく影響しているのでとても重要だったんですよね。しかし映画化においてきっちり起承転結をつけると却って浮いてしまうので、なかったことが結果的によく働いているのかもしれない。宮迫が撮影に時間をとれなかったというのが2chにのっていたけど、まぁ相応の扱いなんじゃなかろうか。

京極堂も榎さんも映画ではキャラ造形は薄かったように思うんだが、中でも関口君が微妙。みんなに小突かれながらも愛されるに足る病みっぷりがないと。クドカンの久保はかなり好き。あ、でも三人の仲のよさ、男ばっかりのむささがすごいよく描かれていたのは追記しとく。

映画サイトでも謳っているけど「魍魎の匣」はやっぱり京極夏彦の最高傑作だと思う。一つには、さまざまなジャンルのモチーフが複層的に描かれていること。この点においては私は映画も楽しめた。前作の映画ほどちぐはぐ感はなく、3つの事件が一つに収斂されていく様が映画でも味わえた。2時間半の尺の中できっちり収めたことはとても評価できる。

もう一つは宙吊り感というか着地しない上での細部の描き方。原作はもううろ覚え(だから映画もまぁ楽しめたんだけど)なんだけど、研究者のはしくれとして美馬坂先生には共感を抱けたいたように思う。科学の道を究めるというのはこういうことだなぁと。新書の折り返しに「一日も早い『科学の再婚』の成就を願う、多くの輩に捧ぐ――」とあるけど、それに値する内容の小説になっていた。あと作品の最後、雨宮に対する「何だか酷く――男が羨ましくなってしまった」という部分。
2時間半では描ききれないし映画で描ける部分ではないかもしれない。それでも「魍魎の匣」が傑作たりえる部分のうち半分は完全に欠落していたように思う。

「ぴつたり入つてゐた」がなかったのはやはり残念。魍魎映画化の話を聞いたときから、無理だろうなぁとは思っていたことだけど。ただ、年齢指定しなくていいのかこっちが心配してしまう、頼子の惨状の映像化は私はいいと思った。研究所内での加菜子も微妙だけど悪くないと思った。ほとんどシルエットでもよかったので挑戦して欲しかったなぁ。

他の人の感想を読んでいて、マンガ化されているのを知った