Born to Run

そろそろ「時代の曲がり角」は痛烈にDISっといたほうがいい -にインスパイア。
道幅のあるゆっくりした曲がりくねった道でも、相手をオーバーテイクするとき攻めないといけない。あるいはカーブが緩やかでもダンプカーにはそれなりに大変な曲がり角かもしれない。結局、いつどこで攻めるかということだ。過去を追い抜き未来に早く着こうとしたとき、攻めるべきカーブが目の前に現れる。
そのことを、『Born to Run』というマンガで森博嗣先生に教えてもらった。「森博嗣のミステリィ工作室」に載っている。


「だから僕はおじにどうしてみんなカーブでスピンしてしまうのかってきいたんです
それは、みんなカーブへつっこむスピードが速すぎるからだっていうんです
じゃ何故もっとゆっくりまわらないのか
僕はそれが不思議でした とても
簡単なことですね
スピードが遅ければ敗けてしまうんです
いつもギリギリでなくてはいけません
わかりますか吉田君」
危険なカーブは不意に姿を見せる。カーブを攻める危険性は他の誰にもわからない。後で通った人のルートを見て、危険だったことがわかる。
優れた研究者は、誰も見ていなくても常にカーブを攻めている。学問の王道がそこにしかないことを最も優れた形で表した作品が、森先生の『キシマ先生の静かな生活』だ。「[rakuten:book:10643492:title]」に載っている。森先生にしか書けない作品だろうし、世界で最も美しく"研究者"を書いた小説だろう。
キシマ先生になるのは難しいかもしれない。でも、誰にでも、目の前にカーブが現れる時がある。そこに身を浸すことの喜び、"恍惚と不安"は今でも変わらないと思う。