NCC2007:「ネットワークイノベーションのビジョン」


ネットワークに関する話
生物のネットワークの話を前半

人間が作るネットワークよりもずっと長い生物のネットワーク
生物のネット枠の構造がWeb2.0ツールが必要であることを明確に示している

ロバストという概念、トレードオフ、進化。

システムがすべてロバストというのは難しい
あるところでロバストでもあるところではとても脆弱
進化の必然は、それを克服するところ。
どのいうように成長するかという特徴をみつける。

将来生物学的ネット枠にちがづたときどのようになっているか。

生物のネットワーク
EGF Receptor Cascade
一部が変になると癌になる。
免疫系の分子のネットワーク

こういうネットワークをどうなっているか構造、ロジックを探求すること、理解すること
ロバストネスは、遺伝子のコントロール、細胞、身体、生態系のレベルまでつきまとっている。
環境問題で種の多様性が失われている。
ネットワークが脆弱になる可能性がある。

進化の過程として必然的におきている
ロバスト性を持つには特徴的な構造が必要

ロバスト性は、ホメオスタシスとは違う
血糖値を保つとか定常状態を保つ、ことを捨てるために、ロバスト性を持つことがある。
ゾウムシ:脱水状態になるとフリーズドライ状態になって何年も生きていけるようになる
安定状態を捨て去って別の状態になっている

不安定であることが環境に対して適応するのに必要なこともある。

人の作るもので、ロバスト性のあるシステムの具体例として飛行機
・フィードバックコントロール
・モジュール化
・冗長性
・異なる会社で同じ設計を持たない、多様化
・低レベルでのノイズが影響を及ぼさない

生物が持っているネットワークの構造:
蝶タイ構造 Bow-Tie Architecture
多数の入力−限られた中間ノード−多数の出力。ちょうど蝶ネクタイの形。
生物の代謝のネットワークを調べるとコアを囲むように、input, outputがある
構造になっている
どの生物の代謝系をとっても基本的に同じ構造

Wikiの構造も同じ
EGFの構造を整理すると、4つぐらいの収束する分子、
そこを経由して数千の遺伝子に情報を発信

免疫もあらゆる病原体へ対応するという入力が
ただ1つの分子を経由して外にでていく。

インターネット、生物、似た構造をとる。
NNで、まんなかのノードで学習して、抽象化して外に出て行く、のと同じ

DNAのほとんどがジャンクという話がある
それがいろんな相互作用して生体をコントロールしている
No Coding...

多細胞になるとRNAによる生体の制御が非常に複雑になっている
生物の進化は制御の進化
メタレイヤーと言う制御のメカニズム、それが複雑な制御を達成している

バンド幅が足りなくなったときメタコントロールが必要になる、とかかもしれない

Self-extending symboisis
他のバクテリアの遺伝子をとりこんで自分のものにする
ミトコンドリア
M&Aと同じ。

アブラムシとかスポンジ、あるバクテリアが細胞内に感染する
効率のいい代謝を持っているバクテリアを内部に持たないと遠くに飛べない。
環境に変動できるようになる

一体化はしない、感染はする。
子供の卵子バクテリアが受け継がれている。

腸内細菌
身体の細胞の10倍の細菌が身体の中に
人間の95%のDNAはバクテリアのもの

バクテリア1.5Kg, 脳とおなじ重さ

生まれたときにバクテリアがあってそれが刺激を与えて
初めて免疫系ができる。

だんだん自己が拡張していく。
ネットワークの拡張。
それが生物の進化

バクテリアが分解したもので養分を吸収する
数などが変わることで環境の変化に対応する

ある種の胃腸が弱い人は、この数が少ない。

ネットワークの拡大、外にレイヤーができる、と言う構造


トレードオフ
ロバスト性と脆弱性
乱気流にはロバスト、電源が使えなくなると飛ばせない
一方、ライト兄弟のフライヤー、飛ぶにはとても不安定、でも電気にはとてもロバスト
デザインの問題
問題は何に対してロバストか計算して認識しておくこと

多くのネットワークはノード除去にはとても強い
しかし、機能しているけどおかしなものがあるときには弱い。ウィルスや癌
典型例:糖尿病
血糖値があがる、いんしゅるいんがでて血糖値を下げる
5つの制御ループがある。
進化的には、ほとんど飢餓になったり、エネルギーを使う、病原体がある、
捕食者があるというものに対して進化してきた。
しかし、今の飽食t系な生活スタイルに脆弱

インシュリン抵抗性はロバスト性を高める機構
脂肪細胞が当分を取り込む
神経細胞と自然免疫系はグルコースを必要とする
インシュリン抵抗性はグルコースの脂肪細胞は骨格金細胞へのグルコース取り込みを
抑制する

これまでの製薬のアプローチ:
1つの染色体に発生する癌があったとき、そのたんぱく質を阻害する薬を作る
しかし、癌が進行し突然変異で対応する染色体が増えるとこの薬ではきかない
逆に、他の細胞に影響を与えることも。
例:乳がんの薬が、心筋細胞にも影響を与える

long-tail drug
癌の遺伝そのほとんどはHUB(重要な細胞)、それを抑制すれば癌は抑制される。
けどそれと同時に生命機能にも影響ある。
→HUB以外の複数要素をターゲットとし、弱い相互作用シナジーで効果を得る。
ターゲット細胞と正常細胞の擾乱

生物の代謝系についてはネットワークはスケールリッチ
スケールフリーではなく
power lawでない構造が積み重なってpower lawになっている

スケールフリーになるネットワークの構造:
Li et. al, "A first priciple approach...", SIGCOMM2004
Li et. al, "Toward a Theory of Scale Free Graphs" Caltech Tech Rep. 2004

生物でのある実験、1個のハブを一つ落とすのと同じ影響を、50個のノードの
相互作用を半分落とすと得られる。
漢方も同じようなロングテールドラッグかも。

インターネットは、ロバスト性がとても低い
同じことをネットでやると、5%のハブルータが落ちるとほとんど機能しなくなる
しかし生物では10-20%まで大丈夫

今までの薬のもでるは、製薬会社が一つの化合物に何百億円掛けて一つのものに
対応しうる。これがロングテールにすると破綻してしまう。
対応するには、Open Phamaにするしか。製薬産業のオープンソース
製薬業ゲームのルールが回る。

"PAYAO" Web2.0 Community Tagging System to SBML models
生態系をつくるようなWebコミュニティ
プロトタイプ、来週ぐらい。
Google earthコミュみたいな。
モデルのオーナがネットワークを提供
研究者がタグをつけていく。
他の人がそれを見ていく

論文がどのぐらい信頼できるかというのを知るのに重要
ある確率である論文とある論文のつながりが間違っている可能性がある
それぞれ実験の信頼性とか、条件がフィードバックされる
それぞれの生物学論文をすべて読むのは不可能
つけてもらったタグで、論文のツリーを作れるようにする

生物のネットワークの多様性、広がり、を相手にするにはこのような構造を
持つしかない

アメリカのパテントリフォームに一番熱心なのはアメリカ
でもそれでも多様性には対処できないかもしれない

Q&A:
Joi: スコット何たらのダイバーシティという本がある。
林信行さんのレポによるとScott Pageの"The Difference"という本らしい
Amazon.co.jp: The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And Societies: Scott E. Page: 洋書
そこで、エキスパートとか偉い人に聞くより、多様な見方、多様な立場の人
に聞くほうがいいというのを数学的モデルで出している。

アメリカで上場するためのベンチャーつくりをしてきた
経済の脆弱な部分インターネット企業としても問題点が出てきている
もっといろんなインプットを入れていかなければいけない中で
これからどのようなインプットが日本のインター別途のロバスト性を上げるのに必要か

北野:生物、制御工学、物理学、エコロジー
ただし物理はあまりに単純化していることがあるので注意しないと。