「エヴァンゲリオン」企画書

エヴァと、ヱヴァ新劇場版・序の違い - END_OF_SCANに書いたエヴァの企画書のうち、企画意図とかを順に写していきます。引用の範囲を越えているけどあえて関連する部分は全文載せます。


企画意図
巨大ロボットアニメの魅力とは?
「巨大ロボットアニメ」は、子供たちの潜在欲望の現れであります。
つまり、「巨大ロボットアニメ」とは、子供たちの持つ色々な抑圧や
コンプレックスの補償、抵抗の手段、代償行為なのです。
大人達は、「人が生きることのつらさ」を知っています。
と、同時に「人が生きることのおもしろさ」をも知っています。
生きるために、例え<嘘>だとわかっていても
「正義と愛」という<夢>や<希望>が必要なのだ、と知っています。
私たちはアニメーションという表現手段の特色、つまり、
全てが人の描いた「絵」であるという世界観を生かしたことにより、
子供達に虚構と現実との違和感もなく、ピュアに伝えることができるのです。
それが「巨大ロボットアニメーション」の持つ最大の魅力なのです。

本企画は、この原点にさかのぼって
本来の「巨大ロボットアニメ」の魅力を
新たに掘り起こす所にユニークさを発見したい、と思います。


全体を通してのテーマ
主人公はどこにでもいる、ごく当たり前の少年
従来の巨大ロボットアニメーションではロボットに乗り込む少年は初めから
その才能と適正を持たされています。
その特殊なヒーロー性に子供達はあこがれ、自分と同一視してきました。

だがしかし、
ある日突然、ふつうの14歳の男の子が「巨大な力」を与えられ、使命を持たされ、
大人の世界に投げ出され、大人になることを強要されたら・・・
これが私たちが主人公に与えたシチュエーションです。
主人公は巨大ロボットの小さな操縦席の中や、家に学校、そして数々の戦いの中という、
カオス的現代社会の中で、観客は主人公と共に悩み、考えていくのです。
「今、自分は何をなすべきか?」ということを、です。

主人公は「子供以上、大人未満」
主人公は、14歳・中学2年生。
この時期は反抗期であり、思春期であり、自我を形成する最終的な時でもあります。
つまり主人公の少年は、今、子供と大人の狭間にいるのです。
当初、優柔不断だった彼は戦いの中、大人の都合、大人たちの意見等に惑わされ翻弄され、
流されて行きます。
それは雑多な情報の中で生きている、現代の私たち日本人の姿とダブります。
主人公の少年は、自分が一人では何もできない子供だと知り、経験を積み、
現実を直視し、成長して行くのです。
本来、大人たちが子供たちの与えなければならないのは、
「自分の意思」や「ひとりだちできる力」だと思います。
知識や技術を供与するのもそのためです。
しかし、今、子供たちはテレビの前で一人遊びはできても、集団の中では何もできません。
他の>モノへの依存度が強く、マニュアル無しでは、どうすれば良いのかわからないのです。
子供たちは、プレッシャーだらけの「現実」の中で、自分一人では
何もできなくなっています。
このままで、良いのでしょうか?
私たちは、観客である子供たちが本企画・アニメーションという
「夢の中にある現実」を観て、
「自分の意思で生きること」とは何かを感じ取ってほしい、と思っているのです。

また私たちは、子供たちが成長し大人になったとき、
自らの「理性」で「現実の正義と愛」を考えてみてほしい、と願っているのです。


ストーリー・ドラマ的な見せ場
謎解きの面白さ
本企画のドラマ中では、個性的なキャラクタたちの日常描写に加えて、正体不明の敵
「使徒」を代表に、数々のSF的な要素あふれる謎や秘密等が隠されています。
本編は主人公の少年が、何も知らないところから、物語は始まっています。
つまり観客は、同一視する主人公と共に、いろいろな謎を知り、秘密を説き(原文のまま)
明かして行くのです。
もちろん、物語の先には、驚天動地の「意外な事実」や「大どんでん返し」等が、
用意されています。

ゲーム感覚的なおもしろさ
本企画では各種ゲーム的な要素が、本編中にもちりばめられています。
例えば、
日本を舞台にした防衛作戦、市街地での攻防戦、街そのものの要塞化、
状況に合わせた機体や武装の選択、物語後半に容易される敵本拠地の発見と侵入、等の
シュミレーション(原文のまま)やRPGゲーム的なおもしろさ。
加えて、
複数の人型兵器による格闘戦、2体以上の味方機、バラエティ豊かな敵機、
機体の発進口や武器、それにエネルギー補給パックなどがあちこちに隠された市街戦、
時間やエネルギー残量を主とした戦闘サスペンス、等の、
シューティングやアクションゲーム的なおもしろさも内包しているのです。

ビジュアル的な見せ場
超科学平気のイメージあふれる、視覚的面白さ、
巨大兵器のメカニックな魅力あふれる、出撃プロセス、
毎回違う、大都市に隠された秘密発進口の意外性あふれる、発進プロセス、
激突する巨大な兵器同士の迫力あふれる、ダイナミックな戦い、
人間の動きをする巨大人型兵器のスピーディで重量感あふれる、動き。
「使徒」の人型にこだわらないバラエティあふれる、武器とデザイン、
活動限界時間が迫り焦る主人公、緊張感あふれる、ギリギリのタイム・サスペンス。
危機に陥る主人公、手に汗握る、派手なクライマックス。
大逆転
最後に、カタルシス。
本企画では今までのアニメに無い
「カッコいいリアリティのある戦闘画面」を目指します。

あと、ドラマおよびストーリー展開のうちいくらか違いの見られる最後数話だけを写しておこう。

第24話:今、契約の時
倒れるレイ。
明かされる彼女の秘密。
ついに目覚め、月より飛来する最強の12使徒
米大陸ごと蒸発してしまうエヴァ6号機
その圧倒的な力の前に、無力を自覚する人類。
人が無に還る、契約の時が迫る。
絶望の中での人間ドラマ。
第25話:アルカ、約束の地
キーとなっている古代遺跡『アルカ』を擁する研究所。
12使徒を止めるため、人類補完計画を破棄し、
その破壊を決意する国連上層部。
反対する父親。
レイのため研究所にとどまるシンジたち。
異なった目的のために衝突する人間たちのドラマ。
第26話:たったひとつの、冴えたやり方
終局である。
破壊された研究所を舞台に全ての謎とドラマに決着がつく。
ラストは大団円