うかべんの夏、ゴーストの未来

うかべん@横浜#1に参加しました。
「この人本当に来たよ!?」と酔狂さんに声をあげられるぐらい門外漢の私ですが、面白かったです。主催者および講演者の皆様に感謝。さとーさんとも直にお会いできたし。転び伴天連なさとーさんを糾弾する時間はなかったけどw 次があればまた参加したいです。
さとーさんの話、浮子屋さんの話は、技術的でもあり内容もわかりやすくてとても面白かった。DirectSSTPやSSTP Bottleの詳しい内容が知りたくなりました。
さとーさんが指摘したゴースト普及の理由「誰でも作れて自由度は高く」というのにはなるほどと思った。ベースウェアとその上とを分けていることで制作コストを大幅に下げている、というのは裏返すと、機能拡張は簡単には表現の拡張にはつながらないかもしれないということでもある。みんなに使ってもらうためにどこまで機能をラップしてあげないといけないか、という一つの具体例として興味深かった。
とはいえ、ゴーストのカルチャーが枯れ気味に見えるのも確かではある(私見)。勉強会のあと酔狂さんと「ひぐま濃いビール」とか飲みながら議論して理解が深まってきた。ほとんど技術系の話で4時間ほど。久しぶりに濃い話ができて満足ですた。
以下は私の個人的な理解に基づいた妄想に近いもので、事実と大きく異なる点もあるかもしれません。ご容赦くださいませ。
ゴーストの進化には、ソーシャルな方向に向かうのと、身体性を獲得するのと、2種類あると思う。前者の未来像は、Beyondはてぶ、とかBeyondトータルリコール。ネットに散逸する情報を集約して表現するのに、データの羅列でなく人の姿をとることでユーザの導線をうまくコントロールするもの。非言語的なコンテクストを表現するもの。後者は現実と仮想空間とを橋渡しするもの。Augumented Realityのエージェント。それこそ「電脳コイル」のおやじのように現実空間に投影され、空間(距離)と情報とを結びつけるもの。
前者に向かうには、ゴースト間、あるいはゴーストとユーザの間のやりとりをエコシステムとしてまわるようにしないといけない。しかし、見る限り、コミュニティの濃度も規模も爆発するには足りないように見える。
発表の後、さとーさんにはその辺りを質問してみた。ハンゲームモバゲータウンアバターはノベルティなどでユーザをくすぐることでうまくエコシステムを回している。それはアバターがユーザの分身だから成り立つ。一方ゴーストは、ゴースト作者ともユーザとも同一化されない。アバターのような形でエコシステムを回す起点がない。ゴーストはアバターのようになりうるのか、というのが質問だった。さとーさんの答えでは、ハンゲームのようにユーザと制作者を守るサービスプラットフォームになるものがない点が大きい、という話だった。現状でもゴーストのパーツは配布されているが制作者の権利を守る枠組みが確立していない。またスポンサーがいない。一般化すると、報酬系が確立していない、ということだろう。勉強会の中で、浮子屋さんが、ゴースト間のかけあいを作ってもみんな見てくれているのかわからない、無数にあるゴーストに埋もれてしまっている、ということを述べていたけど、あれは私には結構衝撃だった。ゴースト制作者にちゃんと報酬がまわっていない。以前ハンゲームについての講演を聞いたとき、ユーザのプロフィール画面で、あなたが利用するようになってからx日目ですよ、とか細かくnotifyをあげて、ユーザに参加意識を持たせるのが必要、という話があった。それと同じように、アテンションを細かく発生させてチープな報酬を沢山発生させるようにするのがいいんだろう、と思う。
ただ、これまでのゴーストの文化として、アバターのようなものに進化するのは難しいのかもしれない。ゴーストはインタラクティブな芸を行う一つの作品として扱われているようだ。同人的な考え方をすると、ある原作の二次創作だったり、ゴーストの二次利用が一般的になればもう少しエコシステムも広がりそうなものだけど。ゴースト間の通信も、以前からそういう試みはあるもののいまいち流行っていないみたいだ。
他の可能性としては、ゴーストをリアルと結びつけることだろう。たとえば、個人のtwitterの内容をゴーストがしゃべる、なんてのはとても面白いと思う。ユーザの気分に合わせてゴーストが笑ったり泣いたりするとか。ただこれも今までのゴーストの文化と相容れないかもしれない。
ゴーストの身体性についてまず不満があるのは、ゴーストがデスクトップの底辺から通常は動かないという点。とはいえ、今のところいい例がないのも確かだ。デスクトップ上を這いずり回るゴキブリや、ウィンドウの上に腰掛けたり顔を覗かせたりするマスコットは昔からあるけど、何かちょっと違う。個人的にはWindowsのイベントを片っ端から拾って、リアクション返すようにすれば面白そうに思う。アクティブなウィンドウのタイトルを読んで突っ込みいれるとか。機能拡張と生産性とのトレードオフという問題はあるけど。
個人的に興味があるのは、動画プレイヤー上で動くゴースト。コンテンツを言語とし、その上で意味(身体性)を獲得するメタコンテンツとしてのゴーストに、メディアとしての新しい可能性を感じるのれす。あるいはAIRGoogle Gear、あるいはSilverlightなどWebとオフラインがシームレスにつながるとき、コンテンツを渡り歩くようなゴーストがあると楽しい。
うーん、もっと書くことあったような気がする。そのうち加筆するかも。あとメディアについては改めてちゃんと書きます。