はてなメッセージとコーヒーハウス

はてなメッセージは、はてな私書箱かと思ったら、はてなこっそりコメントだった - ARTIFACT@ハテナ系
昔、ハンゲームの中の人の話を聞きに行ったとき、仮想空間でもプライベートなチャットって重要なんじゃないか、と客席の誰かがコメントしていた。ふつうMMORPGだと、画面の中にいる全てのプレイヤーが他のプレイヤーの発言を読むことができる。ちょっと話し合いをしたいとか陰口言いたいときどうするかというと、プライベートなチャットを別に作ったりする。
はてなメッセージが、friend同士による閲覧が限定された閉鎖空間であるなら、それはそれで面白いんじゃないかな。はてなスターは相手を褒めあうことを奨励するためのサービス、というはてなスタッフの思惑とは全く逆だけど、この方が現実にずっと即しているように思う。
むしろ、"煽り"が新しい意味を持ってくる可能性がある。これまで、誰もが読めるネットのコメント群(例えばブクマコメント)では、尖ったルサンチマンとニヒルな傍観者とが入り混じっていて議論が発散していた。これがルサンチマン同士が閲覧が限定された閉鎖空間でコメントしあえば議論は一定の方向に進みうる。キモは、その閉鎖空間がルサンチマン同士が互いに相手を褒める場所になり得る、ということ。
それは、フィードビジネスサミットで松岡正剛さんが言った「コーヒーハウス」のような場所になり得るのではないか。公的な空間の中に織り込まれた閉鎖空間。記事に直接トラックバックするのとも、ニュースの横に設置されたチャットスペースを使うのとも、付設のSNSを使うのとも違う、いかがわしい空間。あからさまでないけど、入ろうと思えばすぐに入れて、即発的に立ち上がりまたすぐに消えてしまう空間。そういう場に対してなら、正剛さんの思い描く仮想世界を少しだけ具体的に想像することができる。言葉が生まれ物語が生まれ政治が生まれるトポスとして。平準的なウェブのコメントから突然変異が生まれる場として。
一般に肯定より否定のコメントの方がパワーがあるもんだ。はてなスタッフたちは、健全なものが健全に褒めあう場所を作りたいのかもしれない。でも私には、不健全なものが不健全に褒めあう場所の方がずっとリアルで面白い。