第37回アニメスタイルイベント「細田守 『デジモン』絵コンテ・コメンタリー」

演出のお話、特にレイアウトなどについて話を聞きたかったので参加しました。アニメスタイルイベントもロフトプラスワンも初めて。内容は、編集長の小黒さんのブログなどにもあるように、実にマニアックでストイックで予備校の講義のようでした。是非他の作品でもやって欲しいものです。
メモ最後まで載せました。誤りありまくりでしょうが大目に見てください(特に原画担当は書ききれませんでした)

前振り

トークの内容はほとんど作打ちに(作画打ち合わせ)になる。
3時間で終わるわけがない。いつもの作打ちだと、20-30カット内容説明で2時間。
「ウォーゲーム」は800カット。

デジモン絵コンテ」本の巻末のインタビューは2回やった。1回目こと細かくやると、
20分劇場版の内容を話すのに2時間かかった。2回目はまいてやり直した。こうなると、
最初に話した内容が伝わらないのももったいない。ということで絵コンテ解説を
開くことに。
前回の細田監督登場は人生相談。あれも相当なものだった。時かけ公開直前前だった
ので、何も話せなかった。

これから、どういう感じで話していくといいか、探り探りやっていく。
時かけ絵コンテ買った人、どのくらいいる?(と会場に聞く。ほとんどの人が手をあげる)
じゃあ、マニアックにやっていく。わかってない人ごめんね。

東映はお堅いので、なかなか気軽に映像流せない。集会しているところで映像を流すと
映画としてフィルム借りるのと同じ料金がかかってしまう。参加費5000円なんてことに。

ぼくらのウォーゲーム」Aパート

「ウォーゲーム」は全体で3パート。
テレビだとA,Bパートの2つ。ワンピース、時かけは4パート。40分の映画を3分割する構成になっている。

Aパートでは、まだサブタイトル(「ぼくらのウォーゲーム」というのが)決まってない。
(劇場デジモン2と書いている)
Bパートでは、決まっている。

サブタイトルは、喫茶店(東映横のドトール)で延々話し、紆余曲折の末決まった。
他のタイトル候補は、ディアゴノモンどうした、オメガモンこうした、みたいなの。
しかし、名前を劇中で呼んでいない。
シナリオを書く前にサブタイトルを決めている場合は楽、後だとものすごい苦労する

(ここで、次のページ開いてください、と小黒さんが言うと、みんなが開く。)
映画でみんながケータイ取り出すシーンがあるけど、それと同じようにみんなが一斉に
同じ動作をしたので面白い。

リーダーフィルム:映画の冒頭の東映のロゴなど。一応書いておく。東映アニメのぺロがぞんざい。

1枚目がいきなり改稿。2枚目から6枚目がなくて7枚目に。
始まりの構成はすごい悩む。頭から順に書いていく。最初に後半からとかじゃなくて。
最初はトーンを決めるので書き始めるのに時間がかかる。
そのわりに、余計な説明が多かったりして、あとで切ったりする。
2枚目-6枚目は説明のカットだった
丁度制作していたとき、2000年問題が盛り上がっていた。コンピュータクライシス。
そういう前兆を見せるシーンがあった。
作品内の時間は、2000年3月4日。制作していたのは1999年。結局2000年問題で、
何もなかった。2000年に何か起きないか希望していたのに、騒いだわりに大して
何も起こらなかった。それで2から6を切った。
ディアボロモンは最初2000年問題が原因で出てくるという設定にしていた。
それだとまとまらないので、一般的な問題にした。

今見ていて、東映の横のアパートにかんずめになっていた時のことを思い出す。
絵コンテあがるまでそこにいた。
家にかえらないでやっていた。ずっと雨戸締め切って。

3-4:
飛行機雲、あとで伏線にしようと思って書き直した。

3-5:
コンピュータ画面、作画不要。作画が楽できるように。

3-7:
カメラがモニタの中にあって、モニタを見ているのでカメラ目線
Webカメラ風にやりたいなと、やや広角風。奥行きみたいなのを
出していただけるのをいいかな、と。
まんま作画打ち合わせじゃん。。

CD-Rが乱雑に置かれているのはセル書きで。
太一ちょっと縮んで、飛びのく。すると後ろにヒカリがいる。
ヒカリは止めで。太一の影で、それでヒカリがみえない。

3-10:
俯瞰で。
コミカルなテイストを入れている。
冒頭に気軽で楽しいところから始めたかった。
3-18で椅子から落ちたりとか、わざわざやっている。
映画の導入を見易いように工夫している。

4-1:
光子郎のマンション、本編と全然違う。
本編では、そこまで進んでなかった。

絵コンテ書いているときは、テレビの22話以降を何も知らなかった。
同時進行で進んでいた。わかんないまま、すすめていた。

4-3〜5:
時計が11:05
スクリーンショットを多用したのは現場を楽にさせたいから。

4-8:
ロジッククロスワードの本。ビジュアルがデジタルちっくだなと思って使った。
ネットが今ほど普及してないなかで、デジタルちっくなビジュアルを
いろいろさがした。いろんなところに入れたいなと思った。
妙にかっこいい。

4-6:
レンダリング=CGで描画ということ。
ネット上のデータをレンダリングソフトにかけた。その画面がロジッククロスワード
これから後のコンピュータの映像では、光子郎はずっとこのソフトを使っている?
つっこまないで!
別のソフトじゃない?
5-1では世界中のみんな同じソフトでレンダリングしてるw
みんな謎のデータがあるとそうするのか?

5-1:
本編で各国の子供がしゃべっている台詞は除いた。
アニメの中で外人だしても外人に見えない。
しゃべらせようか、場所をテロップ入れようか、とか考えた。
世界時間を調べて書いたけど、他のところでも入れないといけない、それが多くなると
テロップ読ませられないないので、結局除いた。
一考、と書いているところみんなやってない。
8月末に入って始まり、アフレコ1月末、ダビング2月中と、タイトなスケジュール。

7-1:
オープニング
時かけではタイトルバックは絵コンテに入ってない。
ウォーゲームでタイトルバックがあるのは、曲がすでにあるから。
P.276から歌詞が書いている。
7-3の尺が2秒6コマ、その次0秒18コマと細かく計算している。
テンポを計り、1カット何こまか計算し、それにあてはめる。
1,2コマ余裕もたせて尺を決める

7-5:
女の子っぽい自意識過剰なしぐさw 嫌なト書きがw
空が何かに対して怒っているという、そのイメージを出したい。
帽子が気に入っているんだけど、それって変かしらと太一が思っているとしたら、
と空自体も迷っている、自信もってない。
という意図だったけど、画面ではほとんど伝わってないかも。

7-6:
カット時切り替わる
画面のシャッターのことがある。カメラが何か横切る瞬間に次のカットに。
それでテンポを出そうと。
通り過ぎるところまで書くともったいないし。

7-11:
作画監督なかやまひさし??
丈のコミカルな動き、状況が伝わる絵になっている

7-16:
ミミの家の前の設定が何もないので決めないといけなかった

7-20:
木が流れるのが好きなのは、未来少年コナンのEDから。
今だとCGでやるところだけど、あえて作画でやるのが好き。
時かけでもやっている。
望遠で送っているっているように見える。

7-21:
だーっといきかけてからちょっと戻るのは
ゲゲゲの鬼太郎」のネズミ男でもやっている

8-2:
タイトルバックでスタッフの名前が出て、テーマが終わったときに
監督の名前が出るのが普通。
そこであえて出してない。
「ジャラララン」と終わったときに、画面を締めない。
一区切り置かずに、シーンに入る。音楽の終わりをこぼしている。
わざわざやっている。
客に一息つかせない。そのままの勢いで本編にはいっていく
あえて曲の閉めにふさわしくない絵を入れている。

8-11:
忘れたころで監督の名前。
わざと外して出すのは、「オマツリ男爵」でも「時かけ」でもやっている。
クールぶっている?w

9-2:
コンテでは2000年問題が原因で、と説明している。
「西暦が2000年に変わるときに」、というのは本編ではなくなっている。

9-3:
コンテでは太一が「小学校にしか通ってないからな…」となっているところが、
本編では「通ってないぞ」になっている。アフレコでの藤田さんのアドリブで。

10-1:
ネットの形の象徴的な記号に6角形を使おうと思った。
通常ネットでは、Web、くもの巣。
しかし、むしろ、ハチの巣みたいなムードがあるんじゃないかと。
Webだと中央集権的だけど、みんな均一であるものとして表したかった。
しかし、やっているうちに6角形のネタがつきたので最後まで統一していない。

パックマン、農協でやったなぁ。
ゲームとかコンピュータちっくなビジュアルを入れた。
10-1、カメラをずっと引いていく撮影は大変だっただろう。
落ちかけたというのを何度もきいた。
最後斜めにしてパースをつけるのはあきらめた。

12-1:
コンビニは家のよこのファミマのまま。
世界がどういう状況なのかわかりやすくテンポよく羅列している。s
一方で、14-1から後は、部屋の中でカットで変化をつけている

14-3:
空けた瞬間に横とおりすぎるとか、面倒な演技をわざわざ。
作画的に、タイミングとか間のとりかたとか難しい。

14-1から15-16の作画は浜洲さん。
この人がやる、というのを念頭に入れて作画の力で見せるような芝居をやっている
いきかけてもどるとか
15のモニターを引きだしておく
脇のよけるとか、ケースが落ちるとか、
15-2を1カットでやるというのも

15-2:
コンピュータの接続自体わくわくするところがある。
太一は何もできないのに対し、光子郎はさくさくやる。能力差を見せつつ。

当時はネットつなぐの大変だった。SCSIの配線なんかも。丁度USBがでてきたころ。

こうしろう
SFアニメだと光子郎は博士役。日常シーンでやってもそういう雰囲気が出ている

15-17:
マスターショットの一つ。
広角目にして、引き。一旦冷静になる。
色んなアニメがこのアングルをぱくった。他のはつながりがおかしかったけど。
作画の山下さんが得意なレイアウト
右側に自転車こぎ。お父さんの書斎、他にグローブ。
なんとなく感じとしてどういう人をみせたい。
絵コンテ書いているときにはまだ本編で出ていない。
通販で買ってあきる人、という設定で。
スポーツ機器がややある。
コンピュータ風のものばっかりだとつまらない。
先に設定を作った。
15-1とか3とか、その設定から作った。
レイアウト設定。逆算で17のようなカットをやった。

15-21:
ポストペット
丁度この頃流行っていた。
ドット絵は一度作画で書いて。それにモザイクかけて作った。
デジタルチックなビジュアル
パース感とか現実のものと別のものがあって
それが同居しているのがたのしい。

15-33,34
このカットの繋ぎ、切り返しの仕方が気に入っている。
これまでは光子郎が主体に場面が進んでいた。
この繋ぎから、太一が入ってくる。
このカットは15-22の同ポになっている。
そこから、アングルを同じサイズにして切り返す。
33で右側にポイントがあるのが、34で左にいく。
ポイントが左から右に移るのは戻るイメージで、右から左は進むイメージを持つ。
作劇的にそういう心理的な意味合いがある。
33から34で太一に切り替わったというのが見ている人におさまる。
ただしそれをアップですると、決意、という感じで重々しくなってしまう。
同じサイズでやるところがいいと思っている。
最初にアッコの14話で思いついたカットのつなぎ方。

34の続き:
さらに、それまでゴーグルを首にぶら下げていたのを、ゴーグルをはめるのも演出。
主人公ぽく。ヒーローぽく。
でも、いったんキメておきながら、その後、簡単にいかない、
決意してもヒーロー然しないところがこの映画っぽい。
それぞれがそれぞれの都合をかかえている。

しばらく同ポが続く。

20-3:
20-2の同ポからカメラを横に振っている。
レイアウト上ではつながっている。
カメラ位置はおなじ。あえて切り分けている。
2と3でパンしてもいいんだけどでもそれをしないところが。この映画のリズム。
アイレベルを合わせている。
状況の中にいる。
光子郎と同じ空間が太一の空間にはぽつんと一人いる
見比べているような感じ

31-3:
やってみたかったカット
モニタの前に走ってきてフローリングですべってそのまま座る。
頭の猫がよけるのは?
猫はすべてを最初にみている。
猫、しゃべらないけど、先に何かみているようなところがある。
あと猫出したかっただけ。飼っていたのもミーコという名前だった。

32-1
絵コンテでは6角形。できあがりはまた違う形に

32-3, P.338
空間。パレットタウンのデザイン。「時かけ」などでも使っている。
打ち合わせのとき、これを見せられてもきっとわからない。
でも出来上がりではちゃんときまっててよかった。

32-4:
戦闘シーン
空中戦など絵コンテでやるのは初めて。楽しかった

32-6 (P.340)
骨すけたりして、というのをちゃんと指定してやっている。
作画さかざきさん??
インフェルモンになってからがマツナカさん??

32-8:
「めぐりあい宇宙」のパクり
最初の方でガンダムが登場して、ムサイの上にビームライフルを放つ
そのときにT.U.しながら放つ。

32-12:
デジタルワールド内に顔が出る。
最初出す気なかった。
最初シナリオでも入ってなかった。
東映アニメーションの泊社長が、太一たちをデジタルワールドにいれろという
お達しがあった。
いきなりはいるのは不自然。
最初はウィンドウでだして伏線。

もともとのシナリオでは最後に奇跡が起きなかった。
全部知恵で解決。メール転送で終わりだった。
ふつう奇跡で解決するところを、論理的で解決するというのをしたかったのに、
泊さんが中にいれろ、と言った。
最初はえーとなったけど、後で一理あるよねと思った。
偉い人というのは最初の観客。なのでその人が最初に言ったことには
重要な意味があることが多い。
偉い人の命令でしぶしぶいれたことに対し、後でそのよさに気づく、ということは多い

32-18:
パソコン内に映る動画がいい感じ。
実際2000年当時、リアルタイムで動画を見るようなパソコンのスペックも回線もなかった
デジバイスの力で出来てたんだろうなんて、適当に言ってた。
まさか、数年経ってそれが普通にできているようになるとは。

32-26:
T.U.して27でアップに切り替わる
宮崎さんもよく、ナウシカとかでパンしてT.Uしてそれから切り替わる、というのを
やってる

作画は坂崎さん、32-36まで
38から松田さん(78まで)

松田さん自身が、作画打ち合わせおわると、このシーンをCGでやると言い出した。
胴体は六角大王で自分で、足は作画
モデル画面を途中で送ってきた

32-39からは、3Dモデルをまず作り、それをベースに松田さんが原画で書いた。
胴体が宙に浮いている感じがしていい。

32-54(P.360)
トメでいいのに、これをじわっと回転させている。原画的に複雑
光線があたるのがハレーションがでて。
それを厭わずやっている。

32-58の撃つところもすごかった。カメラワークも

32-60:
爆発したとき
カットを入れないで
オレンジ色の炎の色がゆっくりと変わっていく。温度が下がるから。
フィルムだと2枚作ってオーバーラップさせていくところ。
これもデジタルだからできたこと。

「ウォーゲーム」は日本で2番目のフルデジタルアニメ劇場作品

以上、Aパート終わり
"尺ヤバー"というコメント。
13分の積りだったのに、19分。

    • -

Bパート

ここでタイトル決まっている。"Version 2"

コンテ上だとデジモンの名前が違う。ハチモンなど

36:(P.377)
両手の指で電話のボタンを押す。子供らしいかなと思ってやってみた。
スーパーフラットの女の子もやっている。

37-2:
子機も内線表も東映にあるもの。

Bパートまでは映画の尺と劇中の尺が一致していない。
Cパートは一致している。

40-2(P.385)
NTT(というか、ICC)に行って調べてきた
40-3のアナウンサーの言葉は調べた成果。

40-3:
小黒さん:少し高いところにカメラがあってちょっと変わっている、と思った。
お母さんではなく光子郎のアイレベル

レイアウトは、カメラがどこにあるかで決まる
それは、絵で指定できる。アイレベルと中心点から。
劇場で上にアイレベルがあると見づらい。前の観客が見上げないといけないから。
真ん中ぐらいに目線が集まるのがいい。

41-2:
大体真ん中にキャラがいるようになっている
劇場ものだと周りの風景も入れられる。状況がわかる。

43-2:
ロケハンの成果とばかりに写真が絵コンテに貼っている

44-1:
マスターショットを決めると同ポにしたがる。ここは40-3の同ポ。
ここで改めて同ポの効果について説明。
40-3のときの状況と44-1の状況とで
同じアングルでとることで、状況の変化により目がいくようにする
40-3では太一がくたっとなっている
44-1では何か問題を打開する葉書がやってくる。

46-2:
また40-3の同ポ。
今度は、うまくいくかと思ったらまたくたっとなっている
アングルを変えると、状況が悪くなったり良くなったり、という変化の
意味性が希薄になる。同ポだからそのへんが感覚的につかめる。

45-3:
ミミは、本編とニュアンスがややちがう。
本編ではもっとマイルドな子になっている
トロピカルドリンクは好き。
お友達の橋本カツヨさんも好きw
ウテナでは最終話で飲んでいる。

46-1:
44-3の同ポ。同ポにすることで顔の変化が際立つ。

47-1:
ここでフィルムのチェンジ。

49-1:
二人で電話の声を聞き合うというのは好き。仲がいい感じがする。

52-1:
島根ロケハンの成果。
どうして島根?
パソコンがなさそう?
NTT西日本の範囲にあるというのも理由の一つ。
回線がつかえなくなったのに、床屋でネットで接続できるのは
東日本と西日本だから。

53-1:
衛星携帯
イリジウムがつぶれたのは、映画公開1週間後だった。

54-7:
これを同ポに使うのは、最初に道のイメージがあったのか、それともロケハンの後に
決めたのか?
田舎の道の写真を見てから決めた。
最初のシナリオでは、パソコンがあるのは公民館だった
公民館をさがす途中で山道があって、こういうところにあるんじゃないかと
いうことで決めた

54-8:
タケシタでんきは実際にある。
もとはナショナルの店。NECに変えた。
パソコンもNECのに変える。
あとでBiglobeが協賛についた。
デジモンの音楽を作ったのがインターチャネル
Windowsの画面を使っているけど?
Microsoftが、Windowsの画面を出すときのガイドラインを殊更決めていない
ただし、起動画面は映していけない。
(15-4 (P.305)に但し書きがある)

54-10(P.405)
コンテの島根弁はいい加減。
ロケハン行ったときにそこにいた人がにゃーにゃー言うのが島根弁だと言っていた。
方言指導の人にあとで言ってもらうと、にゃーにゃーいってなかった。

55-1 (P.407)
交通管制のサーバダウンを表すのに道路標識を使ってみた
パレットタウンで、観覧車、遊園地を出したので、別のイメージを。
イメージを調べたのは、助監督の佐藤くん。

55-11:
絵コンテでは星条旗の星が?になっているけど本編では星のまま。
この辺りの状況説明のカットは、アイデアが色々あった。
尺を使いたくないので絞っていった。

55-13から56-1:
理屈とか発端をすべてここに収めている。
ちょうど映画の真ん中ぐらい。
後半に理屈を残すとアクションが生きない。
猫がふりむくのは?
猫かわいいなと思って
参加している感がかわいいな、と思って書いたがちょっと控えめになった。

56-4:
ネット電話はこのころからあった

じいさんばあさんのキャラもロケハンで作っていった。

57A
ウーロン茶を飲む光子郎を後で足した。伏線上。

58-1:
ネットのデジモンのアクションは正統にやってる
最近Webで、工事中というアイコン見ないよね。
でもアニメのページとかにはある。凝ったページは大体工事中だったり。
ネットで工事中、という言葉使いに刺激されてこの辺のビジュアルにきている

58-6:
平面的に。
フィルムだと、レイヤーを重ねてやったところ。デジタルだからできた。

59-1:
いろんな世界の子供が見ている。インドでモバイルしたり。でも島根では見れない。
なんで?

実際のところ、文化レベルと経済とネットの普及って一致していない。
現実の社会と違う指標で動いている状況を見せたかった。
病院にパソコン持ち込み禁止じゃない?
消灯時間なんじゃない?
ネットの前に格差がない、子供が平等、どんな状況でも見れる。
テーマとリンクすることとして書きたかった。
逆に言えば、ネットでは平等だけど現実では平等じゃない。
そういう状況を描きたかった。

60-1:
作画は伊東のぶたかさん
曲にのると、だんどり臭いところも尺がしぼられるというメリットがある
ディアボロモン、絵コンテではクモモンという名前で。

60-21(P.432):
ガンダムニュータイプ研究所のブラウブロのオールレンジ攻撃みたいに

62-4(P.436):
正統なミサイル。こういうのをやってみたかった。
「全身からミサイル一斉に出して」は、ロボット刑事K、サイボーグ009の004とか。


ここでパタモンは再起不能になっている。この後パタモンはどこいったの?

62-8:
ようやく反撃。このシーンは殴らせたかった。
しかし、ウォーグレイモンには腕に爪が。コブシで殴らないと爽快感がない。
なのでわざわざ62-7で手甲をはずしている

65-1:
トイレネタは最初から脚本にあった。
個人個人でいろんな障害がある。
細田監督では下ネタをいれるのが好き? デジモンだけ
1作目でもウンコねたがあった。
小学生の男はウンコ好きだよね。バキュームカー追いかけたり。

65-2:
レコード針飛び。こういうのは東映の映画の演出の伝統
あと、かけあしになると曲が速くとか、
自分で音響監督やっているから。
長靴とか、動物宝島とか、
幾原さんもやってるかも

65-1、6がとくに作画すごかった
コンテがあるとアニメータがどんな仕事をしているか如実になる。

71-2:
フリーズしたときにブルーバックになるのはWindows NTのみ。
同時上映でやってたワンピースの監督が志水淳児さん、その人から聞いた。

73-3 (P.451):
この芝居もよかった
作画の小西さんの芝居も、CVの藤田さんの芝居もいい。

74-1:
太一と空の因縁があきらかになる。
高層マンションのわりに部屋が和風。
高層マンションでないと空一面にならないだろうね。

Bパート190カット
カット数はふえているのに尺が減っている。

Cパート

こっから空気が変わる
色彩設計のプランで、Cだけいままでと変えている。
天気がいいときで色を出しているのがA,Bパート
話が深刻になって色がうすくなっているのがCパート
暖色系から寒色系に

80-1
マスターカット。ママの目線。
後で出てくるので兼用できるように

おもしろおかしくですまない。仲間割れ。
これも障害の一つとして。

81-1:
ゲームの説明

82-1:
飛行機雲はレイアウトが楽
なんやかんやで使っている
ミサイルとしてミスリードさせるもの。フェイク。
こういうのもやりながら思いついていく。
シナリオではミサイルが飛んでいない。
最初は、核ミサイルを発射寸前で止める、タイムサスペンスになっている
絵コンテで、もう飛んでいることにしようとなった。

P.545のCパートの尺を見ると10:50
時計がすすんでから止まるまで大体10分。つまりここから後はほぼリアルタイム。
劇内の尺と作品の尺が一致している。

84-7:
ピースキーパーという名前とか速度とか、ネットで調べて、
そのまま書いている。
調べたのは桜田氏 ()
Bパートのネットミーティングの機能とか、色々アイデアを出してた

86-3,4:
本編にはない。編集でカットした

88-1:
マスターショット
3-10の横をのばして

88-6:
藤田さんさんの芝居がすごかった

99-3:
TV第2期で出ているメガネっ子。眼鏡かけている、お姉さんがいる、
という情報だけで加えた。


99-7:
リョウ
GBアドバンスデジモンのゲームのキャラ。
どうやってトルコ山中からアクセス?w
デジバイスでw

99-9:
チベットの見習い僧がw
世界携帯かw

逆に、つないでいるべき人しかつながっていないのだと、世界がクローズドに
なってしまう。それだと電車男になってしまう。
名もない子供たち、世界中の子供たちが妙に愛おしい、というところがある。
この映画の面白いところでもある。

映画館に見に来る子供たちも参加できるものって何だろうと考えた。
選ばれた子供の冒険ではなく、みんなが参加できる冒険にしたい。
ただ代表で太一たちがやっているだけという話にしたい
シリーズは選ばれた子供たちの冒険になっている。

106-3(P.482)
クモモンの大群、できるかもしれない、じゃあやっちゃえ、という勢いでやった。
デジタルでできるから、という冒険という意味では今より貪欲だった。
今のほうがやれることはできるけど、やってない

コピーデジモンというアイデアは、シナリオの第一稿にあった。

106-6 (P.485):
立体感が強調されて煙の具合なんかも特徴的
作画はたかはしひできさん
時かけだとグラウンドのシーン

113-1 (P.490):
やられたあとの、目は見せない。
機能停止をしめすため。
あとで目にT.U.していくところで見せる
作画はいしやまさん
指を綺麗に書く。チベットの僧の指の動かし方もすごいきれい。

116-2:
太一が中に入るシーン。
前に言ったように、社長の泊さんのアイデア
泊さんは、もともと東映の本社で企画部にもいた。
シナリオがよめる社長だった。

最初入れるように言われて、反論した。
太一が中はいっても何もしないし何もできない。

しかし、何かやる必要があるからじゃなく、
中にはいって、一緒にいてやることに意味があるんじゃないか、と。
そこに気づかされたことがある。

もし、中に入ることで決着させるのでなければ、
喧嘩など感情的なシーンは書かなかっただろう。
タイムサスペンスをより鮮明にしていただろう。

メールが力になるというのは最初からのアイデアだった?
まず、デジモンが合体するというのが商業的要請としてあった。
でもそれだけだと流れとして説得力がない。
デジモンの力で合体、というだけじゃなく、これまで映していた
名もない子供たちの力添え、
合体に意味があることが、テーマとリンクするように。

合体のときに挿入歌を入れてくれというリクエストがあった
実際にかかったのは、レクイエム。
あとでだまされた、と担当の人に言われた。
フォーレのレクイエムがイメージのもと。

117-13:
合体デジモンの変形シーン
デザインで精一杯でどう合体するのかわからないままやり始めた。

P.509からP.521
作画ははしもとたかしさん
エフェクトの。
スチームボーイのメカエフェクトなど担当

120-23〜:
びっくりマークがドラゴンボールのようにたくさんついているw
書いている方も冷静でいられなくなってくる。

P.511:
光線を剣ではじきかえすのはスターウォーズが元ネタ

トップをねらえみたいだ、とはしもとさんにも言われた。
120-8(P.509)の集中砲火がとくにトップっぽい
120-31(P.521)もガンバスターっぽい
モニタ上で消えていくところがあんのさんぽい


合体は、117-16,17のところがアニメータっぽい
後、絵コンテ見てアニメータっぽいと思ったのは
宙にういているときの脱力感とか。

アニメータの気分で書いてしまうと演出家の目線じゃなくて
演者が支配する絵になってしまう。
そうすると映画として難しい
演出家が支配しているような映画じゃないと、まとまりがなくなる。
合体とか戦闘とははたがをはずしてできるので、のりで、勢いで
やりたくなっちゃう。
だから絵的にも出してしまう。書きづらかったりする。
戦闘のところはクオリティコントロールを考えなくても
上手い人がやってくれるから。

小黒さん:細田さんはこれまでメカ物をほぼやってないけど、
このコンテからメカもの書いてて嬉しい、というのが伝わってくる。

120-13(P.510)
すみっこに番号打っているのは、ラフ原ぽい。ふるはしさんのコンテみたいw

スケジュール押しているとる、頭がイっているから、字もすごい。
ズゴーと口で言っていたり。
コンテ読むときに、秒数に感心はしないけど、追いつけられている感じ
が伝わってくるのが面白い。
未来少年コナンの絵コンテには、「あと2話、これで終わるのか!」てな
書き込みがあって妙に感動した。

123-1 (P.526)
構成主義、P.モンドリアン風。
わりあい構成主義みたいなものがデザインライン、コンセプトとしてあった。
イタリア未来派とか、ロシアアバンギャルド
キュビズム以降の。
ロシアアバンギャルド建築の本を買ってきた
フォーレもそのへんの人。

次の年に公開された「メトロポリス」で、今回のデザインは構成主義で、とw
協力プロダクションに言ったんじゃない?
そもそも、元の実写の「メトロポリス」が構成主義の中での映画

128-1:
ブラクラでポップアップがつぎつぎひらいて、あわあわしちゃうその気分を思い出す。
今だと成りたたないプロットかもしれない。
砂時計も出せてよかった。MSの許可をとらなくてよかった
苦労してコンピュータ使ってた体験がいたるところに出ている。


P.546:
ED
曲の間奏で世界中の子供の映像がはいる。絵コンテではないのを編集で入れた。

絵コンテ終わり、の字はいつもこういう、終わった!!、という文字になっている

コンテ自体の裏話

絵コンテ書き始めたのは8月頭、11月の終わりに終了。
小黒さん:細田さんが、コンテを小黒さんに持って来て、これ傑作だ、と言ったの
を思い出す。
細田さん:言った憶えはないなぁw
小黒さん:それがあったからインタビューしようと思った。

この本を出すのに、時かけの5倍ぐらい手間かかった。
劇場1作目のコンテには、シーンカットにいちいちチェックがついている。
○つけて製作中に使ったコンテをもとにしている。
東映アニメーションに原版がもうかった。
あったけど、記録のメモがいっぱいかいていあって、もっと汚かった。
きれいなものはコピーが薄すぎて読めなかった。

それでも薄かったので、監督が上からなぞったところがある。
21話とウォーゲームは原版。

Q&A

Q. うまいレイアウトを書く方法は?
A. 本の巻末に21話のレイアウト集がのっている。
基本的には、アイレベルと中心点をどう設定するか
そこから空間をどう設定するか
カメラがどこにあるか、レイアウトと@パースから割り出せる。
あとは法則にしたがって書ける。
カメラがどこにあるか指定しないと曖昧になる。
ぱっと決めちゃうというのがポイント
演出的に、どこにアイレベルがあるか想像して書くとよい

もう一つ
速く書く、というのがずいぶん、実は修行というか参考、力になった。
アニメータのときは時間がかかっていた
演出はじめると、全部ひとりでやらないといけない。
そうすると1枚に時間をかけられない。判断力が速くなった。
枚数を書くことが判断を速くする訓練になる。
アニメータのころより演出で絵をたくさん書いて、レイアウトがわかるようになった。
スーパーカットを作りたくて時間をかけたくなるけどいっぱい書くのも役に立つ。

原画があげたレイアウトに、演出の修正の加味をのっけて書いたのが巻末のもの。

Q. 絵コンテを描くとき、時間を計るために自分で台詞を口に出して言う?
A. 尺を入れるのは、絵コンテ切り終わってからストップウォッチで。
最初は頭の中で台詞を言いながらしているけど、だんだん唇が動いてくる。
演出家によっては本当に声にだして尺を計る人もいる。
興が乗るとおもわず声にでることもある。
声にださないで計っていると、声優が実際に言うには短くなりがち。
ただ、ファミレスで絵コンテ切っているので、声にだすのは危険だ。

Q. どうして島根県? 田舎を書くときの苦労は?
A. 田舎と都会の環境差を面白さにつなげたいというアイデアが最初あった。
富山出身なので最初富山にしようと思った。
でも、東京とそんな離れていなく、中途半端な田舎なので、面白みがなかった。
島根は特徴のある県だと思う。人口が一番少ないし。
方言指導にお願いしようとすると、いなかった。
島根にロケハンいったとき、想像以上にすごい田舎だと思ったのは、道に行き止まりが多いこと。
出雲を中心にまわった。
でも、ヤマトタケルとは関係ない。
島根の人が、島根が一番田舎と誇らしげに言っているのがすてきだと思った。

Q. 脚本から絵コンテでの絵作りはどういうプロセスで? どのぐらい変わったか。
A. 後半、たとえばミサイルとか違う。
ただ、シナリオが悪いから変えたのではない。映画は多くの人が関わって
積み上げていく作業でよりよくなるように膨らませるもの。
絵コンテから画面になるときにも、芝居が入って変わったりする。
大事なのは、最終的に完成形が良いか悪いかであって、それをわかっている、
一緒にやっている意識がある人だとやりやすい。
たまに脚本の人だと、作家主義な人もいる。
最初の脚本自体もプロデューサと監督と一緒にアイデアだしをしている。
結局アニメは、最初から最後まで共同作業で作品作りをしている。

小黒さん追加:
変更には、ディテールを変えるのと、シナリオで変えるのと2つある。
昔は断絶があった。コンテで変えて当たり前、というのがあった。
最近若い人がふえて脚本段階でつめるケースも増えている。
決定稿になる前に意見が入って変わるもの。
絵コンテは脚本の最終稿につづく改稿なのだと思う

Q. 海外への進出は?
A. 時かけが、6月にフランスのアヌシーの映画祭に参加することになった。
映画祭には招待作品とコンペがあり、これまでプサン映画祭などで招待では
行っている。招待作品は賞の対象にならない。
コーディネーターがコンペか招待か決めるので創り手は選べない。
アヌシーはアニメでは最大の映画祭。
海外の映画祭は、最初は飛行機が苦手でいやだったけど、得ることがおおかった。
作品を客観的に見る機会にもなった。

Q. 音楽でクラシックを使っている意図は?
A. 打ち込み系とか劇場で使うのは難しい。
音が広がるのに適したのがオケ編成のもの。
デジモンにデジタルだと広がりがない。
デジモンの劇場一作目は、デジモンが進化していくことと、ボレロとをひっかけている