勝手メタサービスは二重のただ乗りサービスかもね

第7回テレビとネットの近未来カンファレンス」でメタキャストの井上さんは、YouTubeなどの上での勝手サービスを始める人たちがいることを指摘した(「第一部 テレビとネットの融合ビジネスの現場から」の21ページ)。今はもう個人レベルではなく、企業が勝手サービスを始めるようになっている。はてなRimoもその一つだ。コンテンツを直接扱うYouTubeは取り締まれても、その上で遊んでいる人たちを取り締まるのは難しい。だからといって、勝手サービスを行っている人たちが思考停止していい理由にはならない。

「テレビ番組、ネット転送事業は適法・知財高裁、局側の抗告棄却」

 決定理由で同裁判長は(1)専用機器1台から特定の利用者に送信する「1対1」の送受信である(2)送信先を業者が勝手に変更することはない(3)番組転送は利用者の指示に従って行われている――と指摘。「放送事業者の持つ著作隣接権である送信可能化権の侵害には当たらない」とした

これを裏返すと、たとえコンテンツを保有しているのがYouTubeだとしても、不特定の利用者に番組を提供するサービスは送信可能化権の侵害になるだろう。
個人的な印象では、PC画面に大きく、あるいはテレビに放送/パッケージのコンテンツを特定の画面の形式で自動的に配信するRimoは、放送そのものだと思う。放送権をばりばり侵害している。
もし、コンテンツサービスの新しい可能性を試したいと思っているなら、NTTのClipLifeのようにCreative Commonsな映像など著作権に問題のないコンテンツで行うべきだ。やりようはいくらでもあるはずだ。海外でやるとか。YouTubeで上位にある映像を流しているだけで放送権を侵害しようという意思がない、というのは間違いなく通用しない。YouTube自体が黒だとJASRACらは認識しているのだから。そうでなくても、テレビ局は既存のテレビ放送をネットに流すために権利クリアランスに苦慮している。勝手サービス事業者は、コンテンツサービスにおいて払わなければいけない対価を払わず利益だけ得ようとしているフリーライダーだといえる。コンテンツ消費の可能性を広げるというお題目はいい。しかしアンフェアなのは許せない。
当たり前だけど、勝手サービスが取り締まれないのは、サービスを立ち上げているのが個人で取り締まるコストに対して効果が少ないからだ。はてなのようなある程度規模のあるWebサービス企業ならJASRACも気兼ねなく圧力をかけてくるだろう。そうなってからだと遅いと思うよ。

さらに、勝手メタサービス事業者は、YouTubeの映像を自分のサービスとして利用している。それは、動画の利用はYouTubeからの利用に限るというYouTube利用規約に反する。この利用規約が正当化どうかはあやしい。しかし、企業としてそれを破るのはどうだろう。

勝手メタサービスは放送などコンテンツサービス全体およびYouTubeの両方にただ乗りしている。面白いからいいと言うのは簡単だし、広告をつけてサービスが成り立てば将来はオッケーかもしれない。でも面白ければなにやってもいいって問題じゃない。今、あの形式でコンテンツを流すサービスを日本でやるのは、まずい。エスタブリッシュなコンテンツサービスのルールなんて守る必要がない……そうかもしれない。でも企業としてそれをやるのはどうなんすかね?>はてな社員の人たち(梅田さん含む)

さすがにid直貼りするのは躊躇ったけど、情報産業で経済活動を行っている企業として持つべき倫理を疑いさえしてしまいます。

(追記)
ジャスラックがはてなを訴える日も近いな。 - night and sundial経由で知ったhttp://rimo.tv/helpより、

Q. 動画の著作権侵害を幇助するものではないですか
A. Rimoは、YouTubeに掲載されている人気動画を自動抽出し、テレビのように簡単に見るためのビューワやブラウザのようなサービスで、サービスそれ自体が著作権侵害を幇助するものではないと考えています。

JASRAC著作権侵害動画がン万件あるって言って、YouTubeがこれから対応しますって言っている現状ではだめでしょ。未必の故意