Enterprise2.0?

Web2.0技術をビジネスに利用する、あるいはオープンソース的な協業を実現する取り組みがあちこちで行われている。しかし、単純に導入しただけでは上手くいかない気がする。問題は、多様性と報酬だ。

私の勤めている会社にも社内ブログがある。しかしすぐに使うのをやめてしまった。理由は2つある。まず、みんな自社をどうしなければいけないか、という話ばかりしている点。少なくとも私にとっては会社をよくすることは自己実現のための手段の一つでしかない。それを目的にする必要を感じない。結果、おおむねどのトピックも矮小に感じる。次に、社内に発信するメリットがない。メディア論とかここに書いている方が面白い。普通のブログの方がより多くの人に触れることになるから。

Internetに発信するよりIntranetに発信する方が使う人にメリットがあるのか、問わないといけない。ティム・オライリーWeb2.0の特性として、多くの人が使えば使うほど使い勝手がよくなる、という点をあげていた。IntranetでのEnterprise2.0サービスはInternetと比べてスケールが断然小さいわけで、それでもInternet以上に能率的でないといけない。Internetより報酬があって(アテンションエコノミーの意味で、あるいは金銭の意味で)、Internetより多様である必要がある。

一つ可能性があるとすると、異なる部門の人たちが密に集中して開発できる環境(仮想かリアルかはわかりませんが)をつくることだろう。InternetではWeb技術に偏りがちで他に展開しにくいけど、Intranetでの仮想組織ではそれを克服できるかもしれない。リアルの場合は、開発合宿になるのかな。

ただ仮想でもできるとは思う。Web2.0=発酵食品説という話もある。Googleの場合、社内開発向けにOSのようなAPIが決まっていて、まずそれを覚えないと何も開発できない。キモは、クローズドな社内APIと一般公開している社外APIとにギャップがあることなんだと思う。社内APIを使う方がずっと効率よく開発できること。社内APIと社外APIがイコールだったら、会社という組織がある必要がないしね。

まとめると課題は、プラットフォームの確立、報酬系の確立、多様性の確立だろう。このような組織をゼロから作るのは難しい。まずは人脈ベースで小さい規模でも上記の要件を満たす場を作るのがいいと思う。
ま、企業の場合一番問題なのは、リソースの確保(時間・お金)なんだが。