「大奥」第2巻

上様萌え〜。一瞬出てくる姫姿の艶やかさと、わがままさや残酷さのギャップがすばらしい。丁寧にエピソードを追ってるなぁ。

問答無用に面白いのですが、問答してみる。



有功と姫は、正しくヒーロー(外からやってきて権力を奪う)とヒロイン(春日局から役割を委譲された権力の柱)を演じている。なのに、システムが転置している。逆に言えばシステムが転置しているから、旧来のジェンダーのままロマンスが成立している。ここ数年の、女性がヒーローを、男性がヒロインを演じる、転置したロマンスと比べるととても面白い。
システムにおける役割とロマンスのあり方について考えていて、ま、ざっくり - finalventの日記を思い出した。「好き好きおにいちゃんM」の人は、古川日出男「アラビアの夜の種族」のレビューでfinalventさんのこのエントリーを参照していた。

こうしたマンコ買い=貨幣=遅延された労働・価値は、もともと、余剰であることに加え、これを蓄財する権力が発生したとき、遅延された労働・価値は、傭兵に転化するのではないか。/ つまり、いわゆる王権の発生は、本質的に傭兵を前提としているのではないか。つまり、労働=価値から遅延されることで疎外された男を作り出す、男は対価で労働から疎外されて軍事を行えるようになる。

権力の外からやってきて権力を簒奪する英雄が軍とかシステムと衝突するのは、英雄の特異性に原因があるのではなく、経済的信用と正統性が対立するものであり権力がその双方を必要とするアンビバレンツな実体だからだと言えそうだ。「大奥」は、転置したシステムで正統なロマンスを描くことで、権力構造がアンビバレントであることを暴いているところがすげーと思う。