Webのタイムパラドックス

今週は、今更スルー力とかのたまう梅田さんを生暖かく見守る週間だったように思う。それだけではなく、日常レベルの問題で「何をいまさら」てなエントリーは多い。ある人にとっては過去の話題が、別の人にとっては旬だったりする。それはまるで、異なる時代の人が同じ時間を生きているようだ。
昔はビジョンの伝播は、オーソライズされたコミュニティから一般の市場へ、という流れしかなかった。今や問題は至るところに横たわっている。それを問題だと認識しない人にはとるに足らないことだったりする。しかし、ネットの言論、コンフリクトは、散発的に発生するのではなく、他の場所で既に起こったことが伝染するような形で訪れる。
未来だから偉いとか、過去だから悪い、という問題ではなく、未来人が同じ時間を生きている、ってなSFちっくなことが日常に起きていると思うと何だか面白い。上述の生暖かさと同時に感じる居心地の悪さは、小さなタイムパラドックスなのかもしれない。信頼しているものの転倒は、確かにアイデンティティを揺るがすものだ。親を殺したら自分も消滅するなんて物理的な現象は起きないけど、自分の過ちへのいたたまれなさから2ちゃんねるに過剰反応した挙句炎上してネット的に消滅した人はたくさんいるだろう。
ネットのこちら側とあちら側といった大きなギャップは小さくなるだろうけど、ネット的な問題に対する認識のギャップはなくならないだろう。その時、未来人や過去の人がいると思って楽しめれば少しはましに生きられそうだ。

付記(11/29): ネットの中立性によって、文化とか地理とかこれまで多くあったDimensionが1つに収斂されていく("One Dimensional Man"ね)一方、リテラシーや経験値の違いによる断絶(新しい意味でのDigital Divide)が顕在化している。Multi-dimension & One rangeからOne dimension & Multi-rangeに。San Jose Breaking News, Sports, Weather, Traffic - San Jose Mercury Newsとか関係しているかも。