攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

舞台は2034年だけど、まさに今の問題を扱っている。というわけで今見ないといかんと思うのです。


福祉とか子供の教育とか、あまりにコンテンポラリーで、いつからこの作品を企画していたのかと思うと、すげーとしか言いようがない。ドキュンな教育論をぶちまける保守議員に現総理の姿を重ねない人はいないんじゃないかとさえ思う。逆に、2年後だと陳腐に見えるだろう。実際、前シリーズは今だと古くて鑑賞に耐えないところがある。
作中で描かれるSolid State Societyの不気味さは、今の自分たちが抱える不安そのものだと思う。GeekStateもそうだけど、リアルな世界での労働力をどうすればいいのか、今の自分たちには想像することができない。SSSのアプローチは、エスタブリッシュな価値観の人たちがネットのテクノロジーでリソースを確保しようとしたときに取りうる形だろう。公安9課はお国の後ろ盾でやりたい放題お金もじゃぶじゃぶで、そんなリアリスティックな問題に構う必要はない。あるいは2nd GIGのクゼのように、変な正義感を振り回して、あげく「人はいと低きところに流れる」なんて言われても、難民もえらい迷惑だ。ネットの楽天主義者が持つある種の残酷さは、ゴーダとかのように分かりやすい悪の形では現れない。SSSでは社会的弱者たちがシステムの形をとってネット楽天主義者に反逆する。
自分の能力を組織の中で持て余している公安9課の面々が、より強固な組織を相手にどう問題に直面するかとても楽しみだったりする。トグサは家族というアキレス腱を持つし、バトーは組織化する9課になじめずにいるし、素子は自分しかいない世界で義体を乗り換えて好き勝手やっているしw