新しい伝播モデルと視聴ライフスタイル

Web2.0と表現されるネット社会では、口コミネットワークが自然発生する。ネット自体が情報を仲介するものであることからソーシャルメディアと呼ばれる。
ソーシャルメディアでは、コンテンツ制作者と消費者との間にインフルエンサーシンセサイザー)と呼ばれる人が存在する。インフルエンサーは声の大きい口コミ流布者である。
B.Horowitzのブログ"Elatable"の「Creators, Synthesizers, and Consumers」によれば、1人の制作者に10人のインフルエンサーがつき、彼らが100人の消費者に口コミを流布するとしている。ネットのあちら側では、消費者はマスコミより特定のインフルエンサーの情報を優先する。トピック毎に消費者は自発的にインフルエンサーを見つける。
Web技術の進歩は、インフルエンサーの発見とインフルエンサーからの情報取得を容易にする。ソーシャルブックマークではネットで人気のある(多くの人が支持する)記事を総括して見ることができる。RSSは効率的な情報収集を実現する。
映像そのものの共有あるいは映像の評判情報の共有は、これまでのテレビとは違う視聴スタイルとしてほぼ定着したといえる。YouTubeは、ブログ、SNSソーシャルブックマークという異なる場で、ソーシャルメディアが連鎖的に動いていることで、高いアクセス数を発生させている。日本でYouTubeによる映像視聴のユニークユーザ数は500万、アメリカではネットで映像を見ている全視聴者の6割がYouTubeを利用している(2006年6月現在)。口コミによる映画のプロモートはアメリカを中心に頻繁に用いられている。