ONE PIECE ―オマツリ男爵と秘密の島―

時をかける少女」関係で、WEBアニメスタイル 細田守インタビューに出くわし、興味が出たので見た。


面白かった。すごく面白かった。アクションの吹っ切れ感が。個人的には「オトナ帝国」級。どうしても細田監督のメタ映画として見てしまうわけだけど、それゆえに提示される問いかけは真に迫っている。てゆーか、これ子供が見たらトラウマになるって。

緩やかな繋がり感、アニメのもつ軽やかさは、「仲間」をテーマに据えたときどうしてもご都合的・お茶の間的に見させてしまう。細田監督はそれを乗り越えるために、徹底した演出を行う。船の墓場、朽ちゆく人、禿山、異形の花、百万本の矢。

スーパーフラットなアニメだからこそ、軽やかさと対峙するとき死が画面に充ち満ちる。思えば、「ルパン対マモー」などなどなど、アニメ映画の傑作はことごとく深淵を内部に孕んでいた。それは、実写映画のようなじりじりと灼けつくような痛みではなく、ぱっくりと切り開かれた痕として姿をみせる。そのぎりぎりっぷり、それを乗り越えるアクションのダイナミズムは、他のジャンルでは決して表現できない。てゆーか、アニメほど臨死体験できるジャンルは他にないよなーと思う。「火垂るの墓」とかね。

ここまで書いて、澁澤龍彦の「メタモルフォーゼ考」を思い出した。アニメではメタモルフォーゼがキーになっている気がする。前掲インタビューによれば花がラスボスって作品が多いらしいし。

最後に見所でも書いておくか。ロビンのええ女っぷりが素晴らしい。オマツリ島の秘密が明かされていくときのゾクゾク感は、懐かしい感覚だったな。あとはラストのクールさ。