One-Dimensional Man

社会学者の卵である英語の先生に教えてもらった本。Amazonの煽りはこんなの。"Originally published in 1964, One-Dimensional Man quickly became one of the most important texts in the ensuing decade of radical political change."

原典版marxists.orgで読むことができる。

前にも書いたことだけど、エスタブリッシュ層がものごとを理解するときに根底にあるのは「話せばわかる」だ。さらにそのルーツにあるのは弁証法的思考だ。しかし、ネットのあちら側ではそれが成り立たない。わかるやつとしか話さない。
弁証法的な価値観の喪失は文学にも見られる。大きな物語はなくなり小さな物語での葛藤はルーチン化し、もはやキャラクタもモチーフも記号化している。小説は価値転換から退却し負けを認めることで得られる安定を描く*1

Marcuseが1964年に予言したのはまさにそういう世界らしい。

*1:大航海No58のニート特集, 加藤弘一芥川賞ニート文学か」