ツンデレ・エコノミー、不協和ベースインターフェース

suikyoさんのCTO就任記念。

ツンデレ的インターフェースと、「続きはこちら」的な呈示方法との違いについて考えてみました。つまりアフォーダンス的な情報デザインについて。

  • インターフェースとコンテンツの不均衡
  • インターフェースがコンテクストを表す記号を呈示している
  • コンテクストを表す記号は精細度が低いこと

なんじゃないかなー。

ETech2006のアテンション・エコノミーに対抗して書いてみた。

ツンデレ・エコノミー(Dissonant-Driven Economy)

パソコンはどんどん安くなり、誰もが情報を発信し人と人が限りなくつながる時代になって、次に重要となるのはつながりの高価値化です。

アテンション・エコノミーで説明される人の興味の奪い合いはやがて、時間や要するお金の爆発につながります。そこで如何に効率的に人の興味を引き、より深く参与させるかが重要となります。

ツンデレ・エコノミーは、なぜこうなっているのかもっと知りたい、相手がどのように考えているかもっと知りたい、とユーザに思わせるコンテクストを重視することから始まります。

ツンデレ・エコノミーのテクノロジーがフィルタリングと異なるのは、インターフェースの役割です。ツンデレ・エコノミーでは、インターフェースがコンテクストを内包すること、そしてインターフェースと最初に呈示されるコンテンツとの不均衡さ(不協和ベースインターフェース)が重要となります。インターフェースによって期待されるコンテクストと比較して呈示されている情報が少ない場合、ユーザは主体的に次の行動に移ります。優れたインターフェースは、いくつかの記号化された機能によって、ユーザごとに異なるコンテクストを呈示します。

理解・認知の欠落と行動を結びつけるいくつかの理論は、ツンデレ・エコノミーによって情報空間に適用されることとなります。

マクルーハンはクールなメディアという概念を提唱しました。情報の精細度を欠くメディアは受け手の想像力の喚起を促すというものです。情報の精細度を上げるための手続きと受け手の興味の向上が連動するインターフェースが、受け手の深い参与を促すこととなります。

ツンデレ・エコノミーのテクノロジーは、情報空間のアフォーダンスデザインと呼べるものです。デザインにおけるアフォーダンスとは、物体の持つ属性(形、色、材質、etc.)が、物体自身をどう取り扱ったら良いかについてのメッセージをユーザに対して発している、とする考えです(使いやすさ研究所の定義より)。情報空間におけるアフォーダンスとは、コンテンツの属性とそれを表出するインターフェースが、コンテンツ自体がどう取り扱ったらいいかについてのメッセージをユーザに対して発している、という考えとなります。ツンデレ・エコノミーのインターフェースは元コンテンツの属性でなく、受け手のコンテクストが記号化した形で表されます。

フェスティンガーは、認知的協和・不協和理論を提唱しました。自分の状態(気持ち、経験)にそぐわない状況に置かれた場合、居心地の悪さ(認知的不協和)を解消するため、自分を納得させられるような理屈や態度をこしらえる(合理化)ことです。合理化のため、受け手はより多くの情報にアクセスします。ツンデレ・エコノミーでは、合理化のための情報に直接誘導するのではなく、受け手の不協和な状態の強調と協和に至るコンテクストを記号として呈示し、受け手の参与を促します。