第3回 テレビとネットの近未来カンファレンス

過去のセミナーはこちら。
no title - END_OF_SCAN
第2回 テレビとネットの近未来カンファレンス - END_OF_SCAN

後日、各講演者のプレゼン資料が公開されるとのことです。以下は討議メモです
注意:下記は私が聞いたことを書き留めただけのものです。内容の真偽について保証しません。


*メタキャスト 井上氏

テレビブログの説明

テレビブログの中の個人サイト例:
ケースイの気まぐれ♪録り逃し注意報
自宅にHDDレコーダを10台所有するマニアによる、家電各社の自動録画ロジックの分析と
対策。録り逃し対象の番組名からそのまま外部のEPGサイトへリンク

映像とメタデータの同期:TVBlogPlayer
番組の内容をXML化、(株)プロジェクトが人手でメタデータを作成。専用のプレイヤーは、
メタデータからPCに録画したファイルと同期して再生
Ver1.1: iPodPSPに対応

再生時に同時に静止画切り出し:1時間番組で15秒ぐらい

チャプタごとにエンコード選択のフラグ&お気に入り度を入力
携帯動画変換君と同じフレームワーク
iPod自動転送をONにすると、直にiPodに保管

エンコードはやはり面倒。夜のうちに実行するようなバッチ化が必要か。

iPodは見たいものをためておいて何度も見る、というのに合っている⇒
ニュースもいいけど、音楽とお笑い番組がキラーかもしれない

テレビブログのメタデータを参照するブロガーも出現している。
例:音ろぐ、お笑い☆マニア


モバイルと映像視聴
・映像を持ち出して歩く(iPod,PSP,携帯電話の普及、録画ファイル転送の容易化、WiFiなど
のIP網を利用した映像の個人配信)
・家庭での視聴行動を外から予約する(録画予約、Myプレイリスト、プレイリストを交換)
・外で放送を観る(1セグ)

これからのモバイル視聴を象徴するキーワード
"Video Snacking": 一口大の断片的なコンテンツをちょっとした時間の合間にかじってみる、
という視聴行動

必要になる要素
コンテンツが既に手元にあって、すぐにぱっと取り出せるという状況
その映像をその場で見たいと思わせる何か。現実世界からのフック
Contents on Anytime, Anyplace, Anyhow

Q. 今後どうすすむのか:
A. スゴ録MPEG-4同時録画がついていたりする。今後どんどんハード側でそういうのを勝
手にするようになるだろう。
C. テレビのリモコンでディスプレイがついているとか、それを外に出せたり、携帯になったり?

                                                                                                              • -

kizasi制作委員会 新谷氏
テレビxブログからトレンド抽出

kizasi.jp:去年の12月に立ち上げ。

ブログのコトバを解析し価値化
今何が語られ始めたか
どういうコンテキストで語られているか
技術的にはクローリング、日本語処理、言葉の統計処理

キーワードの周囲にあるワードの頻度を同時に示し、コンテキストを提示

ブログではドラマの話題が多い。

いつドラマのエントリーを書いているのか。
ライブで書く人が多い
例) 西遊記1/30, 21時から22時に書いた人が55件、他は10件から20件
タイムシフトで書く人は、みんなだらだら書いている
・他の番組をみてまとめて書く人
・一晩あけて翌日の朝9時ぐらいから
・翌日の夜

視聴率とエントリー件数の比較
例:西遊記
視聴率 ブログ件数
1/9: 29.2% 1400件
1/16: 24.8% 700件
1/23: 23.8% 400件

視聴率もエントリー数も回を追うごとに注目度は下がる(下方圧力)
ブログの方が下方圧力が高い:初回放送は話題も作りやすい、以降は見るけど話題にとりあげない、
という形が多いと考えられる

視聴率は変わらない/あがっているがエントリ件数が下がっている例:
例:アンフェア
1/10 15.7 500件
1/17 14.7 300件
1/12 15.1 220件

他のドラマでも同じ。

ただし、まだ年明けから始まった番組しかデータを見ていない。終盤にかけて盛り上がって
いったとき、ブログのエントリー件数もまた増えていくかもしれない

特殊な例:エウレカセブン
放映のあった日に常に200件程度のエントリー、視聴率は2%以下

blogsphereの話題の推移
1/16-26の話題のトップ10:
1/16: ライブドアの話題が上位を占める
1/18: ライブドア自体の話題から証券取引の話題へ
1/23: 堀江社長逮捕でキーワードトップ10がうまる

(コメント:やっかいなのは、ランキングを席巻される言葉がいくつかある。
ジャニーズ系が多い、ピークをすぎるとすぐ消える)

1/25: 平松氏 新社長 代表権などがランクイン
悪者探しから次どうなるかということに関心が移っているのがわかる
1/25後半からデスノートとか河村隆一とか
1/26にはライブドアの話題はトップ10にはまったくない

マスメディアはずっとライブドアで押していっている。

TV->ネット:TVの話題でブログを書く
では逆はあるのか?
kizasiの協力でNHKが番組を制作している

                                                                                                        • -

NHK報道局 水野氏
:「つながるテレビ@ヒューマン」でブログを生かした情報番組をしている
土曜夜10:58-12:00

ホームページにkizasi.jpと連動しているページ "きざし↑"

朝から19時までのランキングからキーワードを選ぶ
商品名をださない、民放の番組もとりあげている

視聴者とのインタラクション
視聴者がキーワードに投票する(性別や年齢に応じて文字の大きさや色が変わる)

ランキングをつかった番組も民放にある。
ユニークなのはブログの書き込みに注目していること。勢いのある言葉をランキングしている。
硬いものから何かわからないものまでバランスよく出てくるのが面白い

1/28分:2ちゃんねらー陸自資料流出に投票(ちなみにちゃんと放送したそうだ)

これまでも放送局は、世間の関心を感じとって番組を作ってきたが、それは経験則でやってきた。
実際の気分を放送局が知るすべがなかった。今回の試みはそういう点で新しい

                                                                                                        • -

kizasi.jpの新しいとりくみ
https://biz.kizasi.jp/contents/index.psp
1/31からブログクチコミサーチ
キーワードごとに頻度と関連語がわかるツールを提供

バーティカルポータルサイトを作って生きたい
春にミュージックサイトを力を向けて作っていく予定

神田さんのコメント:
・検索ワードとブログワードが違うのが面白い。ランキングと抽出には違いがある。ランキングは
上位のみであり機械的。抽出はWisdom of Crowdsっぽい

・かつて東京拘置所に入ったことがあってその経緯をネットで公開していた。ホリエモン逮捕
取材ががんがんきたが、実際に放送されなかった。もう旬でないのでと言われて。視聴者が
欲しがっている情報と違うものを、マスコミは思い込みでやっているのかもしれない

                                                                                                                      • -

*テレビxネットの先端サービス ベスト20対決プレゼン 神田氏、橋本氏

神田:
モビゾー http://www.movizo.com
携帯で動画サービス 最初はコンシューマでやって実質のもうけはB2B
携帯で動画を撮影して、モビゾーに送る
ペット系、食事しているところが多い

橋本:
大学講義の映像配信 オープンコースウェア
Stanford on iTunes
東京大学

神田:
FlipClip
携帯動画投稿サイト
BtoB TV会議システムの拡張サービスとしてコンシューマに
モビゾーとコンテンツの毛色が違う:しっかりと作りこんでいるコンテンツが多い

橋本:
進化する映像ファイル形式
DivX Ver6: チャプター、字幕、タイトル機能などDVD-Video相当の機能を動画ファイルに内蔵する
H.264:
iPod用にエンコードしているのに他ので見られない。なにでやるか決めてくれないと

神田:
衆議院TV http://www.shugiintv.go.jp/
個人放送局らが裏取りするメディアがこれまでなかった。個人が今後分析するようになると
報道の形が大きく変わるかも。

橋本:
テレビにセキュリティという市場
ProtecTV: テレビとアンテナの間に接続すると、音声認識で危険ワードをカットする。
字幕もカットできる

神田:
iTunes Podcast
毎日やっている人はどんどん順位があがっている。昔のHPが流行りかけた頃ににている。
iLifeにはプロっぽくみせるツールがたくさんついている。個人的には中途半端にプロっぽい
と却って鼻につく。素人っぽい方が面白いのに。
毎日放送(?)がVodcastをはじめた

橋本:
P2Pで映像配信の光と影
torrentocracy: 過激なP2P自由主義BitTorrentって匿名性薄いのにみんな好き勝手やっている
PeerImpact: Universalの映画とNBC Universalのテレビ番組をオンデマンドで配信
映画は初動の3日で決まる。そういうのを促進するようにできればいいのに。
書評をやっているけど、映画の紹介もしたい。チケットカウンターにリンク張ってアフェリエイト、なんて面白いと思う

神田:
Google Video
サーチエンジンの周囲にいろんなサービスをつなぐといろんなサービスが出てくる。
アップロードの帯域などが他のサービスと比較してやりやすい。
web seminarというのが海外である。

橋本:
アダルト風味のコンテンツ
コンテンツは普通だけどアダルト風味
FrenchMaidTV:フランス風メイドさんpodcastなどの使い方を教えてくれる
Nakednews:ニュースを読みながらアナウンサーが服を一枚ずつ脱いでいく

神田:
castella http://www.castella.jp
Jストリームが提供するCGM

橋本:
Alt.interactive
Dragri: 映像をマウスで動かす。新しいインタラクションで面白い
SaveMyShow.com ネット局ごとの主要番組の放送継続可否をユーザに問い公開

神田:
Madonna.comのビジネスモデル
会員サイト39.99$ 50万人
Madonnaの楽曲がただで聴ける。video podcastでフルサイズの映像を買える。
プリンスも似たようなことをやっている
有名タレントは自分でメディアをやっていくのが増えていくのかも

橋本:
ユーティリティ動画という概念
Route Movie: 道案内の動画を作ってくれる。制作費10万円
http://totem-software.com:自伝映画を作るソフトウェア。質問がソフトウェアから
くる。インタビューができる。

神田:
Grinvi.com:あれ系の映像集積サイト

橋本:
映像制作の新しい形
Machinema: MOD。オンラインゲーム中で演技をして映画を作る

神田:
Revver.com
アフェリエイト型ビデオ投稿サイト。神田さんが投稿したものだと一本に0.04$とか

橋本:
投稿専門のサイト
stupidvideos.com:有名な投稿者を支援したり。玉石混交な中でいいものを選び出すため
のコミュニティがちゃんとできているのがすごい。

神動画.com:、一位はFF6の戦闘音楽をギターで生演奏、二位はスーパーマリオのBGMをピアノで生演奏

神田:
YOU TUBE:映像版SNS。映像で共感できる友達の映像が観られる。関心領域が似ている人
の映像はとても面白い。神田さんの友達が持っているのはデビッドボウイの17才の映像。Yahooが買収するらしい

橋本:
検索視聴というスタイル
Google Video
Blinkx.TV
アメリカではメタデータ付けが耳の聞こえない人のために義務付けられている。それを検索して。

                                                                                                                                    • -

パネルディスカッション的なまとめ

新谷氏:
Q. 視聴率以外の情報がブログから得られるか
A. ブログを書いている人と作り手との考えていることは少し違うのかも。
C. これまで、ブログの反応を実際にみたのは初めて。
A. アンケートだとプレッシャーがかかる。ブログは素の部分が出てくるのでこれまで
とは違ってユーザの本質がでかも。
Q. ブロガーは一般の視聴者とは視聴の質が違うのでは。
A. ブロガーは能動的。
C. コマーシャル観ても、広告効果は低いかも。
A. ブロガーは特殊な人種かもしれないけど、数はどんどんふえている。
Q. kizasiはどの程度ブロガーをフォローしているのか
A. 毎日15-20万件をクロール。多分今のブロガーの半分ぐらいはリーチしていると思う

水野氏:
Q. 現在のニュースは同じような内容ばかり。飽きたと思っても同じ時間帯はどこも同じ番組。
ニュースが重なっていることはどうよ。
A. 何を流すべきなのか、というのと視聴者とのずれは正直難しい。
C. マイニュースとかあってもいいかも。ニュースの内容も適当だと思う。重大ニュース
がなくなって初めて地方の少年犯罪が流れたり。
A. 制作のタイムスパンが短くなっている、という問題もある
Q. ブログからネタを拾ってくるというのは?
A. ネットとテレビの双方向の流れは、可能性がある。ブログという情報発信する個人から
抽出するというのを放っておく手はない。正直、10年前だとそのコンセプトは実現できなかった。
ブログがはじめて新しい形を作った。いまやっている取り組みはNHKだから出来たのかもしれない。
Q. 映像を個人が発信する形が増えている。テレビはそれによって変わるのか?
A. コミュニティがランク付けするというのは興味深い。そういうのがないと、テレビ側の
価値観で創っていくこれまでの形のままかわらなくなる。

橋本氏:
テレビとネット融合でできることをキーワードを集めると、声を集める、関連付ける、操作
できる、過激で奇抜、共有化する、パッケージ、安全にする、etc.。いろいろ試している
段階なのだろう。さらに、色んなデバイスが登場している。テレビの画面をめぐる競争も
あるだろう。2画面テレビとかデータ放送を一緒に流したり。

井上氏:
今後のハードウェアはどんどん進んでいく。HDDで全録画も増えてくるだろう。それが
正しい形か、というとゆがんでいるようにも思う。Google Videoのような検索視聴があるが、
どういう検索語を使えばいいか考えつかないような人もいる。個人的には道案内の番組とか
見たい。自分の見ている文脈で観ることが楽しいし正しいと思う。役立つものが少ない。
テレビの制作能力がニッチな生活シーンで使われるようになれば。