陰陽師12

前の巻をほとんど憶えてない。小さき子が何を指しているのか、どういう役割を果たすのか、はちょっと理解できていません。

クライマックスに晴明vs道満の射覆合戦を持ってくるのは想像してなかった。や、確かに、陰陽道が強い影響力を持っていたあの時代のクライマックスのエピソードだと思うんですよね、射覆合戦は。それ以降は藤家の権勢が表に出てきてしまう。その予兆を示すエピソードが兼家の神隠しなんですよね。大鏡でもこのエピソードはとても印象深く描かれている。実際この後、晴明も主上や貴族の求めに応じてちょくちょく占決をしたり祓いものをしたりしたけど、やはり一線を引いてしまう。
大局を見据えながら躊躇する晴明が、藤家と源家の政略戦争、民間陰陽道の台頭、御霊やらなんやらによる不安などのいざこざに翻弄されながら、それを運命と受け容れて道を選ぶところなんて、作品のクライマックスとして良い感じです。

数字とか幾何っぽい蘊蓄については、"三"とか"方"とか"12"とか"円"とか気にはなっていたのでそれなりに楽しめた。が、どうなんだろう、新嘗祭の由来まで書く必要はなかろうに。それにエジプトとか他文明に類似ネタを求める今の方向はなんか閉塞感あるので、図像学的には生物の組織とかの方向に行く方が好きだなー。

博雅の役目は何なのかが今の最大の疑問。