レビュー

「フラワー・オブ・ライフ」の小さな物語

2007-05-31 - さて次の企画は 上のエントリーに対し、「フラワー・オブ・ライフ」(以下FoL)は「ゼロ年代の想像力」と関係がない、という多くのブクマコメントがついているけど、FoLは確かにセカイ系な表現で不安を乗り越える他の作品への一つのアンチテー…

Pirates of the Caribbean: At World's End

タイトルがとても気に入って見に行ったパイレーツ・オブ・カリビアンの3作目。1,2はDVDで予習したんだけど、1の完成度の高さに驚いた反面、2のグダグダぷりにちょっとがっかりしてた。正直期待してなかったんだけど、3はとても楽しめた。確かにストー…

「秒速5センチメートル」の遠い音楽

子供の頃とくに中学生だった時に出会った強烈な出来事をずっと引き摺っている、そんなことがある。今でも、氷河の中に閉じ込められたマンモスのように、心の底で眠っている。日常の怠惰な生活で、心は平らかに静かに外界を反射するけど、ふとしたきっかけで…

哲学、脳を揺さぶる オートポイエーシスの練習問題

このブログでしばしば取り上げる河本英夫先生の本。帯にはこう書いている。「こんにちは「哲学」です。SFでも、デザインの教科書でも、クイズでもありません。副作用で、頭も少し良くなります / 創造性への果敢な踏み出し」。むしろ、哲学でも、SFでも、デザ…

「終わりのクロニクル」#2

その3(上)(中)(下)、その4(上)(下)を読んだ。川上さんの文体は、読みやすいのがいいね。冗長だけど眺めるように読んでも内容が大体分かる。その3では、美影さんの片言ですな。ロボ子のアイデンティティは片言にありと再認識しましたよ。「ペル…

「おおきく振りかぶって」8巻

試合の盛り上げ方がいいねぇ。過剰演出に走らず、すとんと腑に落ちる感じ。とくに田島の打席に入ってから打つまで変にためないところが好き。 今回とくに印象深かったのは、みんなが三橋んちに行ったときに、阿部や花井が三橋に対して今までよりも強く「むか…

終わりのクロニクル

不意にラノベを濫読したくなって、衝動的に読み始めた。昨日でその1(上)、今日でその1(下)とその2(上)(下)を読了。小説として見ると突っ込みどころとか不満はいろいろある。でも、シミュレーションとして読むとまぁ面白い。異なる概念の衝突につ…

電脳コイル

とりあえず、電脳ネタ好きな人、UIに興味のある人、メガネ好き(あるいは好きだった人)は見ましょう。 トトロと比較されるけど、電脳世界がもっと手触り感のある存在として感じられる。変に綺麗ぶってない。電脳メガネやメタガシの玩具(?)が、ツールと呪具…

スパイダーマン3

グダグダでした。ネタバレ防止フィールド展開。 この映画で印象に残ったのは2つ。一つは、敵との決戦にやってきたスパイダーマンが星条旗をバックに大きくフレームインするカット。「スパイダーマン」が啓発する対象は、「nerd」であり、自信を失ったアメリ…

ドリーム・ガールズ

エフィかっこいいとか、エディ・マーフィー意外に歌上手いとか、みんなと同じような感想はやはり持ったのだが、それはさておき。作品のラスト、ドリームガールズの引退コンサートに泣きそうになった。カタルシスがあった。そして、エフィが出てきたとき、素…

さすが涼元さん

ナハトイェーガー ~菩提樹荘の闇狩姫~ (GA文庫)作者: 涼元悠一,一美出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2006/12/14メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 23回この商品を含むブログ (59件) を見る上手いなぁ。 読みやすい文章で短く書けている…

へうげもの4巻

志村ー、足袋の紋! 足袋の紋! で、なんで天海は出てこないの? 戦国の世が収束に向かい、謀略と対立があらわになる中で、命がけの"ひょうげ"をそれと同等に描いている。茶々を抱く秀吉も、朝日姫を抱く家康も、利休を刺す秀吉も、物狂いやひょうげと変わらな…

おおきく振りかぶってVol. 7

ああああ、じれったいー。じりじりした緊張感がたまんねぇ。あと声援とかちゃんと描いているのが高校野球っぽくていい。そして影が薄いよモモカン。 カバー裏でマネジ分を補給するのを忘れないように。

魔法先生ネギま!17巻 がスゴイ

16巻については、"Something Orange"の海燕さんが気合の入ったレビューを書いていて、まったくその通りだと思っていたんだけど、17巻、とくに「157時間目 正義は何処に!?」と「158時間目/誰もが未来を背負っている!」はさらに上を言っている。 いちおうネタ…

「大奥」第2巻

上様萌え〜。一瞬出てくる姫姿の艶やかさと、わがままさや残酷さのギャップがすばらしい。丁寧にエピソードを追ってるなぁ。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

舞台は2034年だけど、まさに今の問題を扱っている。というわけで今見ないといかんと思うのです。 福祉とか子供の教育とか、あまりにコンテンポラリーで、いつからこの作品を企画していたのかと思うと、すげーとしか言いようがない。ドキュンな教育論をぶちま…

BECK 27

最後の1コマでほとんどのコンフリクトを解消させる手際にびっくり。レオン・サイクスやバンドの周囲の動きという脅威を、動機付けに転換できている。追い詰められることで何かが生まれるんだよなー。話をコユキだけに還元するのではなく、全メンバーに外と…

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

見始めた。古いねぇ。個別の11人はいいんだけど、なんか違う。電通とか日テレとかがこの作品の制作委員会に入っているのは面白いんだけど、コングロマリットvsネットの無名の悪意という対立構造がそもそももうお腹いっぱい的である。2年前の作品だっけ? 仕…

茄子 アンダルシアの夏 [DVD]

不意に見たくなった。 ジブリは少なくとも背景美術だけは見るべきところがあるよなーマッドハウス制作ですね(hitotukiさんどうもありがとうございます)。スペインの荒地とか空気感がすばらしい、と書いてみたがそのすばらしさって何だろうと思った。 キャ…

時をかける少女

映画のページ。あと、原作新装版の表紙を貼ってみる。 あー、なんも情報持ってなかったから気づかんかったわ。テアトル新宿の初回で見たけど、今日の「細田守×時かけナイト」の整理券待ち行列はえらいことにになってた。でも一度見たあとだったら行ってたか…

ONE PIECE ―オマツリ男爵と秘密の島―

「時をかける少女」関係で、WEBアニメスタイル 細田守インタビューに出くわし、興味が出たので見た。 面白かった。すごく面白かった。アクションの吹っ切れ感が。個人的には「オトナ帝国」級。どうしても細田監督のメタ映画として見てしまうわけだけど、それ…

デスノートその他の物語

私のHPからの転載。expireしてたので。 デスノートというアホな設定が推理ゲーム自体の面白さを際立たせているのだけど、3巻に入って抜群に面白くなってきた。探偵小説がその隆盛を誇ってた時から、みんな推理ゲームそのものの面白さを知っていたわけで。け…

のだめカンタービレ15

これなんてチャオソレッラ?、てな感じののだめ初リサイタル旅行記と千秋のオケのオーディション。モーツァルトにのだめを重ねるところはちょっとあざとくて嫌。でも音楽の表現をいろいろ描いてくれるので楽しい。あとヤキトリオのポールが出てきてかなり嬉…

トム・ヤム・クン!

もちろんストーリーを期待しちゃいけないって分かってますよ。でも、さすがにちょっと。中国のカンフー映画はなんだかんだで昔ながらのストーリーのフォーマットを踏襲しているんですよね。争いの火種→復讐→主人公が復讐の復讐。土台がしっかりしているから…

へうげもの 1、2

漢字で書くと瓢軽者。信長の使い番で茶人の古田織部のお話。人から借りて読んだんですが面白い。すげー面白い。 信長をはじめとする武人の、数寄ものっぷりを示そうとする甲冑姿は楽しいし、安土城以下装飾の素っ頓狂っぷり、茶器の存在感もしっかりと伝わっ…

猫本

チーズスイートホームのこなみかなた他の猫アンソロジー。こなみかなたはどうでもよく、萩尾望都のも山下和美のも概ね微妙すぎる。ただ、北道正幸の「猫は猫づれ、ノラはノラづれ」(?)は大好き。ノラ猫が家にあがりこんでくる生活がうらやましい。

よつばと!5

相変わらずエコロジー臭が鼻につくが、隙のない構成はやはりすごい。1ページで必ず1つネタが入るほどの密度なのに、話がスムーズに進む。「よつばとヤンダ」の最後のコマ、「にどとくんな!!」は大好き。こんな話の終わらせ方、見たことねぇ。

ですの11

クライマックスに向けてのタメ。 魅上も高田も活躍しないのが不満だが、作者は作品が複層化するよりもあくまで月とLの対決を描こうとしているのだろう。それは昔の探偵小説から連綿と続く知の決闘であり、その意味でデスノートは探偵物の後継者と言えるんじ…

ネギま!14

背中に傷痕のある朝倉さん(?)和泉や三角関係に悩む夕映の話。ぐだぐだ。戦闘シーンがダイナミックで面白いがゆえにドラマが重く感じる。 赤松さんの文法は、記号をハイブリッドに組み合わせることで軽さを失わずに重層的にものを描くというものだ。しかし、…

湾岸MIDNIGHT34

911が地上のメッサーシュミットだから、地上のゼロ戦を作ろうということで、車の歴史勉強に。どこいくのー。 前々刊で、アキオは俺たちの希望だ、とCPU屋のおっさんが言っていたが、本刊も自らの希望を押し殺していたおやじどもが車で自己実現を果たそうとし…