レビュー

成絵の世界11

2年ぶりかぁ。よくぞ戻ってきてくれました。 「赤ちゃんができました!」と帯にあったので、またラブコメ的展開になるのかと思ったら、すぐにシリアス風味が強くなって。とはいえ前巻から続いている話の核心に迫ってくる展開は、ちゃんと続いているのでまだ…

GIANT KILLING 14

ちらっと連載読んだとき、達海の昔話イクナイ!と感じていたのだけど、単行本で続けて読むと全然オッケーだった。てゆーか、ケンさん→持田→石浜→達海って、コンボすごすぎだろ。ストーリー進行が神すぎる。なにこれ。

おおきく振りかぶって 14

負けてキャラを成長させる描きかたがいいなぁ。三橋の自立はあざといと言えなくもないけど、好きなんだよこういうの。7番の西広で終わらせるところとかも。それにしても狭山の4番がいい具合にむかつくw そして、阿部は負けて何かをつかむことすら許されな…

おおきく振りかぶって

早い段階から、阿部が怪我して……という構想だったんだろうなぁ。すごい。阿部はここから少しずつ成長していくのだろうけど、三橋の問題は棚上げされているんだよな。全然決着していないですよ。阿部離れするにも、まだまだ拠り所がない。ピッチャーとしての…

朝霧の巫女6

書店に並んでいてびっくり。ウガワさんよくやったよ。ちゃんとゴールしてほしいなあ。作者スレによると、来月のOURSでは読みきり短編が入るとか。 展開は、持ち上げて落として持ち上げてと大変。規定路線ながら目玉おやじへの奉納は燃える。それにしてもこま…

FF13

一本道すぐる、と巷でずたぼろに叩かれてますが、その一方、攻略質問スレは終盤のあまりの難易度にのたうつ廃人の巣窟と化していたり。少なくとも○ボタン連打じゃないです。十分面白いと思う。けど、確かに、わかりにくすぎ。誰得。 なんでFF13がこうなって…

エンディミオン

なんというラノベ。世界最高峰のラノベだな。シモンズ先生の筆はどこまでも淀むことなく、山あり谷ありの物語もさくさく読めちゃう。すげーなー。ハイペリオンはどうしても堅苦しくて途中で読むの止めちゃっているのだけどこれはいい。キャラのいじり方とデ…

エンジン・サマー

なんとも罪深い作品。 確かにラストは切ない。しかしその哀切は、主人公を物語の生贄にしているからだと言わざるを得ない。対象を物語にする(押し込める)という行為は、対象から生々しさを剥ぎ取る作業を伴う。その過程での喪失、不可逆性が読み手を引き裂…

乙嫁語り

面白い、そして、すごい。主人公のアミル姐さんに対し森薫さんがあとがきでこう書いています。 「野生」「天然」「強い」「でも乙女」「でもお嬢様」「弓が上手」「姉さん女房」「なんでもさばける」…いざ書き出してみるとなんかもう、清清しいまでに全部ブ…

歌の翼に

「アジアの岸辺」などを読んだときはイヤーンな気分になったものだが、「歌の翼に」の読後は切ない気持ちになった。ダニエルかわいそす。概ね報われてないんだよね。第1部のバーバラや第2部のボウアなど、自分に課せられた負債を払い終える前に理解者に先…

ネギま! 27巻

出たのは結構前ですけど、読み直してやっぱり語っておかないといかんなあと。 この巻で語るべきはやはり、ネギのポジションでしょう。『その真髄たるや魔力でも技能でも努力でもなく、「開発力」とはな』ってところです。これってもはやファンタジーにおける…

ヴィンランド・サーガ8

帯にある通りアシュラッドが死ぬのですが、なんとも急展開。前巻で、クヌート覚醒で話が分かりやすくなったと思ったのに、ぶったぎるように収束させて、いきなり新章を始めている。ストイックというか読者サービスしなさすぎというか。まあデレたツンには物…

湾岸ミッドナイト The Movie

新宿で見てきました。客はみんな「ククク(笑)」と笑いそうなおっさんばかり。 北見は出ません。高木も出ません。イシダ先生はちょい出。原作の2巻までから、えりこに関わるシナリオだけを切り出しています。むしろ、原作の序盤のわかりにくさはひどいので、…

ちはやふる

すごい好き。振幅がすごいんだよねぇ。鬼気迫る対クイーン戦での千早や詩暢は、ほとんどあっち側の人になっちゃってる。タナトスつーか。それがインフレおこしているのではなく、ちゃんと地に足がついている。それはかるたという歴史と馴染み深さを併せ持つ…

GIANT KILLING 9

なんという神進行。話をドライブする仕組みの一つとして、ブラックボックスを用意するというのがある。GIANT KILLINGの場合、達海の過去がそれに当たる。椿の遍歴と成長を通じて達海自身も見えてくるんですよね。前巻からの椿のルーツを探る篇がとてもいいス…

スラムドック$ミリオネア

神映画を期待して見に行ったのだけど、普通の映画でした。出だしにはwktkしたのだけど。笑顔を向けるラティカのショットとか。ターニングポイントは、「ベンジャミン・フランクリン」を教えてくれる盲目の歌うたいと会うシーン。このシーン自体は一番好きだ…

へうげもの8

殺伐としてますなぁ。秀吉も利休もあるべき姿を追求するあまり空回りして己を失っている。で、その利休自身が織部に「あなたの器には中身がない」なんて言っているところがすげーと思ったのでした。修羅と狂言が紙一重というネタがどんどんのっぴきならなく…

ヴィンランド・サガ7

ようやく話がわかりやすくなった。トルフィン、アシェラッド、クヌートはそれぞれ相応な血筋を持っているのだけど、立ち位置が違うのが面白い。従うべき王を見つけたアシェラッドは、前巻から比べるとなんとも生き生きしている。クヌートの覚醒ぶりはえらい…

ロシュフォールの恋人たち

シネセゾン渋谷でデジタルリマスターバージョンを上映しています。専用ページはここ。男女がひっついたり離れたりしているだけの映画、と聞いていたのだけど、楽曲が好きな人でミュージカルに拒否反応ない人は見ておくべきです。ロシュフォール原理主義かつ…

ハーモニー

結構前に読んだんだけど、なかなかうまくレビューがまとまらなかった。「ハーモニー」で気になったのは読後感のどうしようもなさだった(注:ほめてます)。カタルシスもない、不毛ですらない。自分の周囲で変わっていく世界をなすすべもなく眺めている。 とは…

ディファレンス・エンジン

ギブスンとスターリングが組んだ小説って想像できなかったので敬遠していたのでした。面白い。1、2章は(作品では"反復"という単位を使っている)、登場人物紹介が主なのでもたつく感があるけど、3、4章はダレずに話がどんどん進んでいく。解説で巽さん…

くらやみの速さはどれくらい

文庫化を機に読みました。面白くて、600ページを1日で読みきってしまった。まず文体、そして描写がすばらしい。本の裏にある解説に「自閉症者ルゥのこまやかな感性で語られる〜」とあるけど、"こまやか"なんて簡単な言葉で済ませられないぐらい深い。とにか…

TAP

どーもイーガンは苦手。研究者の技術に関する会話とか疑問が頭悪そうなんだよな。当たり前のことばかり書いている。なので表題作は読めなかった。しかし、他の作品はイーガンらしくなくて面白かった。「銀炎」の現実とフィクションの境界があいまいになって…

境界線上のホライゾン I

「終わりのクロニクル」には3つ不満があった。 全竜交渉がどれも最後は喧嘩で決着をつけているところ サブキャラがおしなべて底が浅い 主人公の佐山の動機付けは物語を引っ張るにはつらい 「境界線上のホライゾン」では1),2)には満足してる。正純さんのディ…

AURA ”魔竜院光牙最後の戦い”

家計と似てる。狂った(ほめ言葉です)妄想/思いこみを持った登場人物の多くが、薄っぺらい現実の上で何かを演じている、というところが。普通でいることの軽さ、しかしそこにコミットせざるを得ない現実。選択の危うさも含めてきっちり描く力量は、まあ芸風…

此よりは荒野

よく書けているけど期待したほどでもないなぁ。続きがどうなるかわくわくしないんだよな。揺らぎがない、ツイストがない、サスペンスがない。文が端正なのもよしあしだ。アランとステラのどっちつかずの関係に、やきもきしないんですよ。アランの成長も葛藤…

ONE PIECE

アラバスタ編まで読んだ。ヤボだと思いながらもちょっと書いてみる。よく知ってしまうと書けないだろうしね。 巻き込まれ型の主人公が多いこの頃だけど、周囲を巻き込む主人公ってめずらしい。しかも、主人公がトリックスター。 ゴムゴムの実を食べたっての…

拝み屋横丁顛末記

ついついw 絹代ちゃん好きなんだけど全然出番ないんだよねー。吉永さん絡みの話も大好き。しかしマフラーの件以来吉永さんの輝きが失われていっているよね。一度デレたツンは凡庸になるしかないのだってビシャスさんも言っていたしな。三爺の性格が微妙に違…

GIANT KILLING 07

前巻のためてきたモヤモヤを振り払うような展開。ガンナーズ戦前のwktk感が好き。GIANT KILLINGって熱血でもルーズでもない絶妙のバランスなのがいいですよね。窪田最強すぎ。個別の成長だけじゃなくてチームで対処するような展開きぼんぬ。

おおきく振りかぶって Vol.11

展開が神がかってきたな。西浦が研究されるという話の展開と合わせ、阿部父を登場させて揺さぶるところとかもうね底意地が悪いとしか(褒めてます)。しかも他に父親を出さない徹底振り。今回一番好きなシーンは桐青の捕手河合の「俺は西浦が負けるのを見に…